東京保険医協会 第105回 定時総会決議

公開日 2022年04月01日

東京保険医協会 第105回 定時総会決議

 私たちはすべての国民のいのちと健康を守るために国民皆保険を堅持し、人々が平和に尊厳を保って幸せに暮らせる社会を実現すること、および保険医の生活と権利を守る活動を行っています。
 

 政府の社会保障削減政策は、保健所と公立・公的病院を弱体化させ、今回のパンデミックという災害に対応しきれず、医療提供体制が崩壊する一因となりました。これを契機に改めて問題点を検証し、前向きな対策を講じることが急務です。
 

 一方で、診療報酬は2002年以降、累計で10%以上引き下げられており、今次診療報酬改定は全体では0.94%のマイナス改定です。全体でのマイナス改定は2014年度から連続5回目です。基本的な技術料であり、医業経営の原資となる初・再診料はまたも据え置かれました。新型コロナウイルス感染症の拡大、人件費の上昇、借入金の返済、消費税損税などによって医療機関の経営は厳しさを増しており、国民に安全な医療を提供するには極めて不十分な改定です。改めて基本診療料の引き上げを求めます。

 

 コロナ禍にあって多くの人々が、精神的にも経済的にも苦しい生活を余儀なくされ、健康状態の悪化が見られます。国民が安心して医療を受けられる環境と患者・利用者負担の軽減が必要です。日本国憲法 第25条第2項は、「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の社会的責務を定めています。私たちは、国に対して、「公助」の責任を果たす社会保障政策に立ち戻ることを求め、第105回定時総会にあたり、以下の項目の実現を希求します。
 

一、新興・再興感染症のパンデミックに対し、責任を持って迅速に対応できる仕組みを構築するとともに、公衆衛生を担う保健所機能を強化すること。
 

一、都立8病院と公社6病院の地方独立行政法人化は中止すること。また東京都は、感染症、災害、救急、周産期、小児、難病、障がい者などの行政的医療の責任を将来にわたって果たすこと。
 

一、後期高齢者の自己負担2割への引き上げなどの患者・利用者負担増を行わないこと。また、国民健康保険制度に必要十分な国費を投入し、国保料の国庫負担割合を回復すること。
 

一、医療機関の経営が成り立つよう、初診料・再診料などの基本診療料を大幅に引き上げること。
 

一、2022年4月診療報酬改定で導入された恒常的な初診からのオンライン診療解禁は撤回すること。
 

一、マイナンバーカードによるオンライン資格確認は診療情報の漏洩につながるため断念し、マイナンバー制度に依存しない健康保険制度の維持を再確認すること。
 

一、供給不足が繰り返されるワクチン行政を見直し、開発支援、供給、接種、補償に責任を持つこと。
 

一、原発は使わず、つくらず、輸出せず、再生可能エネルギーの利用を促進すること。
 

一、国連で採択され、2021年1月に発効した核兵器禁止条約を批准し、平和主義を貫くこと。

以上
 

2022年3月26日  東京保険医協会

2022年3月26日総会決議[PDF:85.7KB]

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