[声明]保険証の原則廃止、オンライン資格確認システムの導入義務化の方針に対し、強く抗議します

公開日 2022年06月11日

2022年5月30日

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
厚生労働大臣 後藤 茂之 殿
総務大臣   金子 恭之 殿

           東京保険医協会
会   長  須田 昭夫

政策調査部長   吉田 章

保険証の原則廃止、オンライン資格確認システムの導入義務化の方針に対し、強く抗議します 

 

 

 

 

 

 厚労省は5月25日に開催された社会保障審議会医療保険部会で、保険証のオンライン資格確認システムの導入を2023年4月から医療機関に義務付け、将来的に保険証の廃止を目指す方針を突如として提案しました。また政府は2022年6月に取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針を明記することを検討しています。

 政府が推進するマイナンバーカードを使用したオンライン資格確認システムは、国民と医療機関から信頼されていません。政府は国民に対してマイナポイントを付与するなどしてマイナンバーカードの取得を勧奨していますが、マイナンバーカードの取得率は2022年5月1日時点で44.0%であり、そのうち保険証として利用できる登録をした人は約15%に過ぎません。国民の半数が現在も取得していない事実を重く受け止めるべきです。

 医療機関に対してもシステム導入の補助金や「電子的保健医療情報活用加算」を新設するなどオンライン資格確認への誘導を進めてきましたが、オンライン資格確認システムの運用開始施設は19.3%に留まっています(病院・医科歯科診療所・薬局の合計。2022年5月22日時点)。

 国民がマイナンバーに疑念を持っていることは明らかであり、一度立ち止まり、当事者である国民と医療機関の声を聞き、政策を見直すべきです。

 医療機関窓口で従来の保険証を使用して行う資格確認は、国民皆保険制度の基盤であり、広く国民に定着しています。国民と医療機関から支持されない性急な変更は、医療現場に混乱をもたらし、世界に冠たる国民皆保険制度の歴史に汚点を残す懸念があります。

 当会は保険証の原則廃止、オンライン資格確認システムの導入義務化の方針に対して強く抗議し、撤回を求めます。

 

以 上

「保険証の原則廃止、オンライン資格確認システムの導入義務化の方針に対し、強く抗議します」[PDF:65.3KB]