葛飾支部例会 乳腺外科医裁判の経過から実地医家における教訓を学ぶ

公開日 2022年08月05日

 葛飾支部は6月23日、オンラインを利用して例会を開催し会員12人が出席した。

 例会議事に続き、佐藤一樹支部幹事(協会理事)が「乳腺外科医裁判の経過と医療者の人権保護・安全・再発防止~実地医家のための教訓」をテーマに話題提供し、意見を交換した。

 「外科医師を支援する会」からの要請を受けて、協会が支援してきた準強制わいせつ乳腺外科医事件において、最高裁第二小法廷は2022年2月18日、外科医師を懲役2年の実刑とした高裁判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻す判決を出した。差し戻し判決自体は稀なことであり、高裁での無罪獲得に向けた重要な一歩である。当日は、佐藤支部幹事が裁判の経過と主な論点を丁寧に解説するとともに、医療者の人権保護・安全・再発防止のために、今回の事件を教訓として実地医家が日常診療で留意すべきポイントについて述べた。

 参加者からは、「佐藤支部幹事ならではの理路整然とした、説得力ある話が聞けて乳腺外科医裁判のこれまでの経過と裁判の実質的な争点がよく理解できた」「豊富な資料に基づき示唆に富む解説で大変参考になった。これまで当裁判には関心を持っていたが、被告人が無罪であると改めて確信した」「今回のように裁判になると、患者と医療者双方が不幸になる。示されたポイントを活かして、日常診療での患者との信頼関係構築に努めたい」等の意見が出た。

 最後に石垣宏支部長が「協会には差し戻し審で無罪を勝ち取るために署名運動と併せて、メディア等への情報提供、働きかけにも取り組んでほしい」と挨拶し、閉会した。

(『東京保険医新聞』2022年7月25日号掲載)