24年度点数改定 管理料等0.25%引き下げ

公開日 2024年01月09日

医療本体の引き上げはたったの0・52%

 武見敬三厚労相と鈴木俊一財務相が12月20日折衝し、2024年度の診療報酬改定率について合意した。診療報酬全体で「本体」部分については0・88%引き上げるが、「薬価」「材料」部分を1・00%引き下げ、0・12%のマイナス改定である。「医科」については0・52%の引き上げにとどまった。自公政権下、全体で6回連続の引き下げとなる見通しだ。

 説明によると、医療従事者の賃上げ対応に0・89%(40歳未満の勤務医と事務職0・28%、看護職・病院薬剤師等0・61%)分、入院時の食事基準額として0・06%分を充てるという。早くも協会には、実態とかけ離れた改定率で、賃上げや物価上昇には対応できないのではないかとの声が寄せられている。

焦点は医学管理料 医療機関によってはさらなる影響も

 生活習慣病を中心とした管理料の引き下げ、処方箋料等の再編(リフィル処方箋の活用強化)などで、0・25%の引き下げを行うとした。中医協では、健保連などの支払側委員が、外来管理加算の廃止を求め、それに対し、診療側委員は「詳細な診察や丁寧な説明を全否定するもの」として廃止は認められないとした。特定疾患療養管理料から糖尿病、脂質異常症、高血圧症の患者を外すことをはじめ、諸点数の届出・算定要件の変更等も検討中で、医療機関によってはさらなる引き下げが懸念される。

先発品・後発品の薬価差額を患者負担に上乗せ

 厚労省は12月8日の社会保障審議会・医療保険部会に、「特許が切れている先発医薬品の処方を希望する患者の窓口負担額を引き上げる」方針を示した。該当薬価の引き下げではなく、後発医薬品の上市後5年以上経過したもの等の先発品と後発品との薬価差額の一部を選定療養費とし、患者負担に上乗せる。大臣折衝では、差額の4分の3を保険給付とすることで決着した。

 中医協では診療側委員から、先発品と後発品では「処方後の患者の様態は異なる場合が一定ある」ことから、担当医の処方権を認めるべきとの意見が強く出されている。

入院時食事療養費30円引き上げは患者負担増で

 岸田文雄首相は「医療・介護・福祉分野における物価高騰対策、そして賃上げは重要な課題である」として、対応を指示していた。入院時の食事基準額については、1食につき30円引き上げる案が示された。財源は、患者負担(標準負担額)の増額で賄う。中医協では増額について賛同する意見が出されたが、診療側の一部委員からは低所得者への影響を懸念する声が出されていた。今次大臣折衝では、低所得者についても10~20円引き上げることとなった。

電カル統一・強制に向け改定の施行は6月1日

 12月11日に社会保障審議会の医療保険部会と医療部会がまとめた『診療報酬改定の基本方針』は、「医療DXの推進による医療情報の有効活用」を強調している。政府は2030年までに、ほとんどの医療機関に電子カルテを普及させ、マイナンバーを活用し診療情報を共同利用する方針だ。紙カルテ医療機関にも対応できる簡易版電子カルテのシステム開発も、2024年度に開始する。

 今次改定では、標準型電子カルテとの一体型を目指して共通算定モジュールを構築するためとして、施行日を通常の4月1日から6月1日に先送りする。協会には、マイナ保険証による資格確認と同様に強制される懸念、政府が国民監視に利用しないか警戒する意見も寄せられている。

 介護報酬のうち居宅療養管理指導、訪問看護、訪問・通所リハの改定は6月1日に施行されるが、それ以外の介護報酬改定、薬価改定、障害福祉等の報酬改定の施行日は4月1日となった。

(『東京保険医新聞』2023年12月25日号掲載)