公開日 2025年01月07日
副会長 中村 洋一
元日の能登半島地震で幕を開けた2024年だが、国民の健康といのちを守り、会員の経営を守るために、協会は例年にも増して活発に活動した。
天災そのものは防げないが、その後の被害を防ぐことが大切である。しかし、国の救護施策は、阪神淡路大震災の時から進歩せず、災害関連死を多数生じさせている。
協会は、東日本大震災時から行っている、首都圏から被災地へ赴くボランティアへの無料破傷風ワクチン接種に取り組んだ。本来なら公助の範疇であり、「ワクチン無料接種を求める」要望書を国、都知事に提出した。
24年度改定に抗議する 医業経営を守るために
2024年度の医療・介護報酬同時改定は前代未聞の改悪であった。9月下旬に行った会員実態調査でも、約6割の医療機関で減収が明らかになった。会員から怨嗟の声が未だに多数寄せられている。
生活習慣病管理料算定の煩雑さだけでなく、職員処遇改善に係る種々の不可解な点数や医療DX推進体制整備加算など、一部の医療機関以外では算定できない項目の羅列である。新型コロナウイルス感染症関連項目も大幅低減されてしまった。このような一連の改悪に対して「不合理是正及び期中改定」を求める緊急要望書を国等へ提出した。
さらに、新型コロナ感染者への補助金カット、コロナ禍での患者減、人件費物価高騰による経営圧迫で今や病院医療は崩壊寸前である。「入院医療を守るための緊急支援を求める」要望書を厚労省に提出した。
オン資訴訟は控訴審へ 国民皆保険を守る
2023年、東京協会が中心となって、全国1415名の医師が原告となり、東京地裁に提訴した「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」は11月28日に判決が出され、原告の請求は棄却された。容認できる判決ではなく、控訴の手続きを進めていく。この間、保団連の調査で顕在化したマイナ保険証のトラブルは益々増大し、衆目を集めるところとなり、国民の不信感は増大し、結果として利用率は低迷したままである。裏金問題と相俟って突然の衆議院議員選挙で与党過半数割れの事態を引き起こしたのは間違いない。協会として、今後国もしぶしぶ広報し始めた資格確認書の取得に向けて、方法を大きく広げていきたい。
その他、ガザの人道危機に対する声明を始め、声明5本、要望書11本、パブコメ3本、決議1件を発表、提出し、社会的にアピールした。9月に行われた第42回保団連医療研究集会には東京協会から6人、7演題を発表した。各部の活動も旺盛に取り組み、その結果、会員数は過去最高の6290名となり、全国首位となったことは慶事である。
(『東京保険医新聞』2024年12月25日号掲載)