[要望書]全世代に資格確認書の一律交付を求める要望書

公開日 2025年05月13日

2025年4月12日

内閣総理大臣 石破  茂 殿

厚生労働大臣 福岡 資麿 殿

  東京保険医協会

        会長 須田 昭夫

全世代に資格確認書の一律交付を求める要望書

 

 

 厚労省は4月3日の社会保障審議会医療保険部会で、75歳以上の後期高齢者を対象に、マイナ保険証の保有の有無にかかわらず資格確認書を2026年7月まで一律交付することを決めました。

 これまでは、新たに75歳になった人や転居等で保険証が失効した人のみを対象に2025年7月31日までを期限として資格確認書を一律に交付するとしていました。しかし、後期高齢者のマイナ保険証利用率が相対的に低いことと、後期高齢者の保険証は毎年7月末に一斉に期限を迎えるために、資格確認書の交付を求める申請が自治体の窓口に集中する恐れがあることから、交付対象を拡大して期間も延長したと厚労省は説明しています。

 後期高齢者に限らず、国保についても従来の保険証が有効期限を迎える直前に自治体の窓口が混乱することが予想されています。被用者保険は最長で2025年12月1日まで従来の健康保険証を利用できますが、新卒・転職・退職等や資格確認書の希望者への対応で事務負担と混乱が生じます。

 そもそも、マイナ保険証の利用率の低さを理由とするのであれば、国民全体のマイナ保険証利用率は2025年2月時点で26.62%と低水準であり、問題は後期高齢者のみに留まるものではありません。今回の措置は、政府によるマイナ保険証の強引な推進策の行き詰まりを示しているといえます。

 また、未だに医療機関の窓口でマイナ保険証に関するトラブルは相当数あり混乱が続いています。全国保険医団体連合会が2025年2月から3月にかけて実施したマイナ保険証利用に係る実態調査(中間集計)では、マイナ保険証のトラブルは医療機関の9割で発生しています。「一部の文字が●(くろまる)になる」64.2%、「カードリーダーの接続不良・認証エラー」43.6%、「資格情報が無効」37.9%等、後期高齢者だけの問題ではありません。マイナ保険証によるオンライン資格確認の信頼性は低いと言わざるを得ません。

 地震等の災害に伴う大規模電源喪失やシステム障害等により、マイナ保険証でオンライン資格確認ができなくなった時のためにも、資格確認書は必要です。

 後期高齢者の資格確認手段を確保する今回の政府の決定に感謝します。後期高齢者に限らずすべての患者の円滑な受診を図るために、全世代に資格確認書の一律交付をしてください。

以 上

全世代に資格確認書の交付を求める要望書[PDF:235KB]