[主張]2026年度 診療報酬改定を読む

公開日 2026年02月16日

 2026年1月23日、中央社会保険医療協議会(中医協)で厚生労働省は2026年度診療報酬改定の個別改定項目案(いわゆる「短冊」)を示した。

 東京都や多くの医療団体が10%以上の引き上げを求めてきた中で、物価上昇に対して初・再診料等の引き上げおよび「物価対応料」が新設される。2024年度改定以降の物価高騰による医療機関等の経営悪化への対応分として、初・再診料及び入院基本料等を引き上げる。2026年度以降の物価上昇分については、「物価対応料」を新設する。2027年6月以降の物価対応料は、2026年度の点数の2倍に引き上げられる予定だ。しかし、今回の診療報酬の改定率は「本体」部分で+3・09%とされている中で、物価高騰への対応はわずか+0・76%であることからも、大きな引き上げは見込めないと考えられる。

生活習慣病管理料改定 協会要望実る

 生活習慣病管理料Ⅱについて、生活習慣病とは直接的な関係の乏しい疾患に関する医学管理(傷病手当金意見書交付料、悪性腫瘍特異物質治療管理料等)について、包括範囲から除外した。また、糖尿病を主病とする患者に対し、在宅自己注射指導管理料はいかなる薬剤であっても併算定不可だったが、糖尿病に対する自己注射薬剤を使用する場合のみ併算定不可とされる予定だ。負担軽減の観点から、療養計画書への患者署名が不要になるといった簡素化や、眼科または歯科標榜医療機関との連携を評価する加算が新設される。

 これらは、協会・保団連が要望してきたことであり、一部改善に繋がった。
ベースアップ評価料・医療DX・後発医薬品使用体制加算等が改定

 ベースアップ評価料については、継続的に賃上げを実施している保険医療機関とそれ以外の保険医療機関において異なる評価を行うことが示された。これまでの中医協での議論では、2024~2025年度のベースアップ評価料の届出の有無で、点数に差を設ける想定だ。

 また、入院においては継続的な賃上げを行わない保険医療機関に対して、入院基本料等を減算する規定を新たに設けるとしている。病院の経営が厳しい中で基本診療料である入院基本料を減算しては、賃上げの原資が出てくるはずがなく、本末転倒である。

 医療DX関連については、前回の改定で変更や新設されたばかりの医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算を廃止し、サイバーセキュリティ対策を要件に加えた「電子的診療情報連携体制整備加算」を新設する。電子的診療情報連携体制整備加算と従来の明細書発行体制等加算は併算定できない仕組みとなっており、新点数の評価によっては実質的に減算となることも考えられる。DX化には継続的に経費がかかっており、朝令暮改的に改変を行うのではなく、安定的・継続的に評価すべきものだ。

 さらに、後発医薬品使用体制加算(入院)及び外来後発医薬品使用体制加算を廃止し、「地域支援・(外来)医薬品供給対応体制加算」を新設することとした。後発医薬品の使用が定着しつつある一方、主に後発医薬品において不安定な供給が発生しているとして、供給不足時の治療計画見直し体制や患者説明等を要件とする。

 しかし、そもそも医療費削減の名の下に後発医薬品の使用を強引に推し進めた結果、供給不足問題が生じたのであり、診療報酬の評価をもって医療機関に責任転嫁すべきではない。一般名処方加算についても「後発医薬品の置き換えの進展等を踏まえ、一般名処方加算の評価を見直す」とされており、引き下げとなるおそれがある。こうした姿勢は医療現場の実務負担を全く理解していないものだ。

健診等と同日の初・再診料等の算定不可が明確化

 健康診断、検診、予防接種等(以下「健診等」)と同日の受診で診療した場合、初・再診料が算定できないことおよび、初・再診料を包括する医学管理料・訪問診療料等についても、健診等と同日の場合は算定できないことが明記された。在宅で健診等を実施する際に訪問診療料が算定できなくなる可能性があり、今後の動向を注視したい。

 小児科外来診療料や小児かかりつけ診療料のように、検査や薬剤等が包括されている場合、健診当日は出来高算定にした上で、初・再診料を除いた点数での算定ができる方針だ。

医療費削減政策が続く

 患者負担増については、患者の希望により長期収載品を使用する場合、後発医薬品との価格差のうち患者の負担金額が、従来の価格差の4分の1相当から2分の1(50%)相当に引き上げられる予定だ。その他にも、特定疾患療養管理料等の算定要件として、28日以上の長期処方やリフィル処方箋の交付が可能であることを、医療機関内に掲示することを義務付けて外来受診を遠ざけようとするなど、医療費削減政策が続く。

 今後、具体的な新点数が判明次第、会員に周知をするとともに、不合理是正を強く求めていく。

(『東京保険医新聞』2025年2月15日号掲載)