公開日 2026年10月06日
9月16日に第216回社会保障審議会医療保険部会が開かれ、OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について、取りまとめ案が大筋了承された。
OTC医薬品と成分、投与経路が同一で、一日最大容量が異ならない医療用医薬品77成分1042品目を使用する場合に、原則として別途の負担(薬剤費の4分の1)を求める「一部保険外療養」が2027年3月から実施される。
別途の負担の対象外となる場合として、OTC医薬品では対応できない効能・効果の場合の他、子ども、生活保護受給者、がん又はがんに関連する治療、指定難病又は指定難病に関連する治療、国の公費負担医療、入院中の使用、処置・手術・検査に伴う14日分までの使用、年間を通じた対象医薬品の長期使用等が医療上必要である場合、OTC医薬品の添付文書に「服用しないこと」と記載されている妊婦、妊娠している可能性がある女性、授乳婦に類似薬を処方する場合が挙げられている。
中間とりまとめから本質的な改善なし
とりまとめ案の内容は、8月6日に「技術的検討会」が公表した「中間とりまとめ」をベースに、専門委員(患者団体)とのヒアリングを踏まえて、以下の事項についての取り扱いを明確化したとしている。
①「長期使用として別途の負担の対象外となる場合の基準」について、「少なくとも6カ月程度の使用実績があり、その後も年間を通じた使用が必要であるとの医師の医学的判断があれば、50週(1年)に達する前でも、対象外とすることが可能と明確化された。
②アトピー性皮膚炎について、プロアクティブ療法等として通年にわたり定期的にステロイド外用薬を使用している場合も対象外とする。
③指定難病患者等の確認方法について、自治体の発行する受給者証又は登録者証を原則としながら、2027年度末まで、それ以外の「指定難病患者であることを客観的に確認できる書類」による確認も認める。
④医療現場での医師による別途の負担の対象か否かの判断に係る負担が可能な限り軽減されるよう、対象医薬品の一覧、別途の負担の対象外とするOTC医薬品では対応できない効能効果・傷病名の一覧、別途の負担を求めない場合のレセプトへの記載方法等について、国が作成・公表し、電子カルテ・レセコンベンダーによる必要な改修の実施につなげる他、電子カルテ未導入の医療機関向けには、別途の負担の対象か否かの判断に資する簡易なチェックシート等を作成・公表する。
しかし、①は中間とりまとめに既に書かれていた整理事項を明文化したに過ぎない。全国がん患者連合会が要求していたのは「がん治療が終了した後に、短期・中期・間欠的な使用が必要となるケースがある」ことを踏まえ、「処方日数の基準のみで判断しないこと」であり、示された内容とはずれがある。③は経過措置にする必要性が薄い。④は元から国が行うべきことを並べているにすぎず、負担軽減策と呼べるものではない。取りまとめ案ではOTC類似薬の一部保険外療養の実務フローや、処方箋様式の見直しについても示されているが、外形的な基準の確認、医師による確認だけでも複数の確認手順があり、どう取り扱いを整理しても、医療現場の負担増大は不可避である。処方箋には、長期収載品の選定療養の欄の隣に「一部保険外療養」の欄が設けられたが、記入の仕方が異なる項目が隣り合っており、ミスを誘発する危険性がある。
間違った公平性に基づく健康の自己責任化
国は一部保険外療養創設の趣旨として、「医療用医薬品の給付を受ける患者とOTC医薬品で対応している患者との公平性の確保」を挙げているが、保険診療の一環として医師の判断に基づき処方される医療用医薬品と、自己判断で購入して使用する市販薬とを同列に並べること自体が誤りであり、国の社会保障に対する責任を放棄している。
とりまとめ案は、「成分、投与経路が同一で、一日最大容量が異ならない」ことのみをもって、代替性が担保されるものとして扱っているが、副作用や薬剤同士の相互作用の観点が欠如している。そもそも安全性が議論の中心に置かれていない。
政府が押し進めるセルフメディケーションは、実質的に健康の自己責任化であり、健康被害が発生することを前提とした、単なる医療費抑制策に過ぎない。
医師が診察を行い、治療方針を患者と共有した上で、有効性・安全性を考慮して、治療の一環として医薬品を使用するという、医療の基本的なあり方を守らなければならない。
協会は、一部保険外療養の導入の抜本的な見直しを求めていく。
(『東京保険医新聞』2026年10月5日号掲載)


