公開日 2008年12月15日
「ハチ鳥のひとしずく」 細田 悟 協会理事
私は、2008年11月15日、東京保険医協会組織部内に設置した第1回勤務医委員会にて委員長となった。
昨今、政府・厚生労働省は勤務医と開業医の対立をあおる方向で医療費削減を推し進めている。協会組織部は。こうした動きに反対の立場から、同じ保険医として両者が手を携えて医療崩壊を防ぐ運動に取り組んでいくことが重要であると考え、勤務医委員会を発足させた。
8月に組織部で勤務医の会員を対象に実施した「勤務医アンケート」では、勤務医の会員11.3%から回答があり、協会が実施するこの種のアンケートとしてはかつてない反響で、関心の高さがうかがえる。
勤務医委員会としてやらなければいけないことはたくさんあり、問題の大きさもはかりしれない。
日本の医療の現状をたとえるなら、森が山火事になり燃えさかっているようなものである。私はハチ鳥のクリキンディの心境である。その物語を紹介する。エコの分野では有名なお話である。
<ハチ鳥のひとしずく> 南米アマゾン奥地エクアドルの先住民に伝わる物語
森が燃えていました。
森の生き物たちは、われ先にと逃げていきました。
でも、クリキンディという名のハチ鳥だけは、いったりきたり、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て
「そんなことをして、いったい何になるんだ」といって笑います。
クリキンディはこう答えました。
「私は、私にできることをしているだけ」
* * *
物語はこれでおしまいです。
今、私にできることは何なのか考え、行動していきたいと思う。
(全国保険医新聞08年12月15日号 勤務医コラム8より)