マイナンバー制度 医院が必要な手続きを解説(北)

公開日 2015年11月25日

北支部は、10月30日、王子の北とぴあで支部例会を開催し、8人が参加した。

事務局から北区の会員状況等の報告があり、情勢討議。続いて、協会保険医サポートセンターの山内眞人税理士が「どうするマイナンバー&医院経営のアドバイス」と話題提供した。

従業員の扶養控除申告書へ番号記載と、本人確認、申告書の厳重保管など、必要とされる手続きについて解説。番号の提出を求めるのは事業者の義務であり、個人には提出の義務はない等の指摘があった。

今後の展開については、内閣府のロードマップ案を提示し「政府はマイナンバーを利用する領域を拡大する方針だ。それだけ紛失・漏えいの危険が大きくなり、管理社会にもつながっていく恐れがある」と強調した。

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後半は最近の医院経営について、都内の開業医のデータをもとに、院内・院外処方と、東京と全国を比較して解説。患者の平均来院日数が5年前よりも減っていることについて、「長期処方が増えた影響が考えられる」と述べた。

また、消費税増税後、収入が明らかに減少しており、「政府は診療報酬に消費税分を補填したというが、実態とはかけ離れている。受診抑制の影響がかなり強い」と指摘した。

質疑応答では、「個人番号が第三者に漏れた場合、個人情報が簡単に見られてしまうのか」との質問に、「現状、番号だけでは他人が個人の情報を得ることはできないが、犯罪グループや国家など技術力を持った集団に狙われた場合、決して安全とは言えない」と回答。「個人がマイナンバーを事業所に提出する義務がないなら、初めから空欄で出せば済むのではないか」との問いには「事業所が番号の収集に努めた旨を記録として残しておくことが必要とされている」と答えた。

その他、「税理士にマイナンバー関連の業務を委託した場合に、監督義務が生じるとされているが、実態として監督することは不可能ではないか」「国が楽をするための制度で、国民が得をする場面はほとんど皆無だ。なるべく対応は消極的にしようと考えている」などの意見が出た。

(『東京保険医新聞』2015年11月25日号掲載)