被爆70年――愛知で反核医師のつどい 核廃絶に向け大いに学び・交流

公開日 2015年11月15日

第26回「反核医師のつどい」が10月31日~11月1日に名古屋で開催され、全国から集まった医師・歯科医師・医学生のほか、一般市民ら246人が参加した。

東京反核医師の会からは、向山新代表委員、田﨑ゆき委員、山﨑広樹委員(いずれも協会会員)のほか、渡辺吉明代表委員(東京歯科協会顧問)、矢野正明委員(同協会副会長)らが参加した。

1日目は、秋葉忠利氏(前広島市長)の記念講演があった。秋葉氏は、広島市長として核兵器廃絶に取り組んだ経験から、「核兵器廃絶を実現するためには、核兵器保有国も含めた世論が重要だ。世界の枠組みが、軍事力を持つ国家が主体になっている現状から、軍隊を持たず、多様性を認める都市が主体になるパラダイムシフト(世界観の転換)が必要。そして、その実現のためには憲法が遵守されることが不可欠だ」と話した。

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また、1954年にアメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で、約1千隻の日本漁船が被曝し、多くの乗組員が亡くなった事件を知ったことをきっかけに、元乗組員や遺族から被曝の実態を10年間近くにわたって聞き取り、映画『放射能を浴びたX年後』を制作した伊東英朗氏(南海放送ディレクター)が特別講演を行った。

伊東氏は、「61年前に起きたビキニ事件のデータをさらに精査することが、核兵器の使用や原発をやめさせることにつながる。どの被曝事件も過去のこととして終わらせず、広島・長崎だけでなく、ビキニもチェルノブイリも福島も含めて核兵器廃絶を訴えていきたい」と語った。

特別講演を聞いた田﨑先生は、「ビキニ事件がなぜ忘れられたかを検証しなければ、福島第1原発事故も同様になってしまう。東京反核医師の会でも、映画を上映できればいい」と感想を述べた。

2日目に行われた分科会では、1)「今後の核廃絶への展望」は、冨田宏治氏(関西学院大学教授)、眞鍋穰先生(大阪府)、2)「日本における放射線被害 過去・現在・未来」は、松本純先生(福島協会理事長)、聞間元先生(反核医師の会原発プロジェクト委員)、3)「憲法9条から考える~集団的自衛権」は、川口創弁護士(イラク派兵差止訴訟弁護団事務局長)、小林武氏(沖縄大学客員教授)がそれぞれ報告し、参加者と意見交流した。

(『東京保険医新聞』2015年11月15日号掲載)