保険医の生活と権利を守るために――保険医協会へのご入会をお勧めします

公開日 2015年09月05日

堀 浩一朗

東京保険医協会 組織部長

保険医として日夜医療の最前線で活躍されている先生方に感謝と敬意を表します。東京保険医協会は、現在会員数5,400人を擁する保険医の活動をサポートする団体です。2013年には創立50年周年を迎え、現在までの間に多くの先生方が保険医を守る取り組みを形にしてきました。

初期の頃は国民皆保険制度が始まったばかりで、主に診療報酬請求についてアドバイスをしてきたのだと思います。請求内容も今よりシンプルで、経営も堅調、患者さんとのトラブルも少なく感謝され、医師がお医者様でいられた、きっと大らかな時代だったと思います。

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時代は流れ、レセプトは手書きから電子請求へ移行し、診療報酬請求業務は煩雑極まるものとなりました。なかでも在宅医療の算定は難解です。開業して初めてのレセプトを提出してみたら、返戻・査定の嵐に意味不明の指導箋が添付されることも。また開業1年後には新規指定医個別指導に必ず選定されます。これは文字通り新人のための指導の場であるため、もし診療報酬請求に誤りがあっても、かつては自主返還金は発生しませんでした。ところが現在は請求ミスがあれば自主返還金を求められます。

レセプト1枚あたりの平均点数が高いという理由で集団的個別指導を受け続けると、個別指導になる可能性があります。集団的個別指導や個別指導の通知が来たら、すぐに電話してください。すべての対策をアドバイスします。

こんな時代を乗り越えていかなければならない保険医は大変です。とても一人の力では解決しないことも出てくると思います。地区医師会も医業収入の面では頼もしい存在です。しかしながら行政との事業も縮小傾向になっていくことは目に見えています。いかに無駄な出費(減点・査定)を避けるかが重要です。

また日々の診療・特に患者さんが目の前にいる時の請求に対する不明な点はどこに相談すればよいのでしょう。支払基金・国保連合会は取り合ってもらえません。地区医師会に電話しても、担当理事からの返事はその日のうちの返ってくることは困難であると思われます。そんな時は東京保険医協会にお電話ください。迅速かつ丁寧にお答えします。

医院の経営・税務、スタッフの労務に関する問題・患者さんに対する接遇やクレーム処理などは医学部で習ったことはありません。暴力・暴言等の被害を受けた医師・職員が8割もいるとの衝撃的な報告がありました。トラブルへの備えをし、経営・税務に対する相談窓口を持っておくことが大切だと思います。

東京保険医協会は対外的にも取り組みを行っています。我々が守っている大切な国民の命を戦争に巻き込んではなりません。残念ながら起こってしまった医療事故は、当事者を処罰することでは再発を防止できません。ジェネリック医薬品を安心して患者さんにお勧めできていますか。10月に施行されるマイナンバー法は、国民の個人情報を守ることができるセキュリティーレベルにあるのでしょうか。今まで受診していた患者さんが、自己負担増で受診できなくなっています。難病なのに難病と認定されず苦しんでいる方がいます。ワクチンを接種する機会を逸し、先天性風疹症候群のお子さんが発生してしまいました。消費税が10%になったら医療経営はどうなるでしょう。

様々な取り組みを行っていますが、まだまだ難題が山積しています。皆様のお力が必要です。ご入会を心よりお待ちしております。

(『東京保険医新聞』2015年9月5日号掲載)