国立競技場解体の残土はどこへいくのか――公害環境対策部、日の出町ごみ処分場を視察

公開日 2015年07月15日

協会公害環境対策部は、6月14日、西多摩郡日の出町に設置されている二つのごみ処分場を遠景から視察し、現地で住民運動に取り組んでいる「たまあじさいの会」の方々と交流した。

この視察会は、2020年の東京オリンピック開催に向け、現在立て替え工事が進められている国立競技場を解体した残土が最終的にどこへ運ばれ、どのように処理されているのかという疑問をきっかけに、現在の廃棄物処理に関わる問題に対する認識を深めることを目的に実施された。

当日は、竹﨑三立副会長、赤羽根巖部長、小川一夫、森本玄始各理事ら6人が参加し、日の出町議会議員の折田眞知子氏の案内で、谷戸沢処分場、二ツ塚処分場のエコセメント工場を視察した。

日の出町の二つのごみ処分場には、三多摩26市1町、約400万人のごみ(ほとんどは焼却灰)が廃棄され、東京たま広域資源循環組合(特別地方公共団体)が管理・運営している。その一つの谷戸沢処分場は、1998年に埋め立てが終了し、それ以降は二ツ塚処分場へ埋め立てられている。

折田議員は「二ツ塚処分場のエコセメント工場から、放射性物質が付着した重金属や化学物質など焼却残渣が大気や水を通して浸み出してはいないか、子どものぜん息やアレルギー疾患が増加しているデータから不安が増している」として、周辺住民が自主的に水質調査や放射線量を測定していることなどを紹介した。

国立競技場解体の残土はどこへいくのか――公害環境対策部、日の出町ごみ処分場を視察画像

見学後、一行はちくりん舎(市民放射能測定所)を訪れ、「たまあじさいの会」会員の中西四七生氏らと懇談した。中西氏は印刷業を営む傍ら、20年来、日の出町のごみ処分場を原因とする健康被害の被害者としてデータを収集・分析し、被害原因の立証を通して裁判を闘ってきた。中西氏は、日の出町の処分場やエコセメント化施設から飛散した焼却残渣が周辺自治体にも拡散してはいないかと懸念している。青梅市内の小学生のアレルギー疾患も急増し、ケヤキのヤノナミガタチビタマムシによる被害など植物への被害も拡大していることとの因果関係を疑っているという。

公害環境対策部では、今回の視察で得た知見を、10月に東京で開催される全国保険医団体連合会主催の医療研究フォーラムにおいて発表する予定である。

(『東京保険医新聞』2015年7月15日号掲載)