患者から医療を奪うマイナンバー廃止を(新宿)

公開日 2015年07月15日

新宿支部は6月16日に臨時支部総会を開催した。今回の総会では、長年、支部長として活動を支えてきた溝口とく子先生から桑原俊樹先生に支部長が交代した。

会の冒頭で桑原支部長が挨拶。「今、医療界を見ると、官僚のみならず国民や医師さえも、医療は儲けるものと考えている。かつては患者の家族状況を理解した上で診療を行っていたが、今後は診療所が画一的なものとなり、利益のために診療を制限されることさえ起きかねない。こうした流れは何とかくい止めないといけない」と語った。

 

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また須田昭夫副会長が最近の医療情勢として、10月から通知されるマイナンバー制度や、社会保障費の削減を打ち出し続けている財政制度等審議会の建議を紹介し、「マイナンバー制度は、3年前までは医療を対象にしないという話だったが、首相官邸が出した資料ではしっかり『個人番号カードを健康保険証、お薬手帳として利用』する旨が記載されている。個人の特性と医療情報が紐付けられることで、たとえば結婚、採用、昇進、契約、ローンなどで不利になり、健康・介護関連商品などのマーケティングの標的にされてしまうだろう」と指摘した。

また、医療情報が漏洩することをおそれて、患者は医師に本当のことを言わなくなるかもしれない。そうなってしまっては、医師と患者の信頼関係が破壊され、患者から医療を奪うことになるのではないか」と警鐘を鳴らした。

参加者からは、「政府やマスコミはジェネリックこそが社会保障費削減の切り札と考えているようだが、臨床をしていると随分と効果が違うことが分かる。高すぎる薬価を問題にするのならば、高すぎる新薬などを問題にすれば良い」、「政府の出す将来の社会保障に関する提言は、いずれも社会保障費の削減しか打ち出していない。財政審の会議には医師は一人もおらず、せいぜい日医の会長がアリバイ的に入っているだけだ。社会保障費の削減を打ち出すために有識者会議を乱立させて、誰も責任をとる体制になっていない。まさに原発と共通する問題だ」などの意見が出された。

(『東京保険医新聞』2015年7月15日号掲載)