「TPP批准させない」院内集会に250人

公開日 2016年05月05日

保団連も参加するTPP批准阻止実行委員会は、4月21日、国会内で集会を開催した。全体で250人、保団連からは15協会92人が参加した。野党各党の代表が挨拶し、TPP批准阻止に向けて野党が一致して望むこと、今国会で批准を阻止できれば、7月の参議院選挙の結果いかんでTPP批准を否決できる展望が生まれると強調した。

TPP批准阻止実行委員会の代表として日本医師会前会長の原中勝征氏もかけつけ、「批准を阻止して人間を大切にする社会を次の世代に引き渡すことは私たちの義務」と述べ、「社会的な格差をもたらすTPP批准を阻止していこう」と呼びかけた。

院内集会の様子画像

 TPP協定の問題点を報告した「オールジャパン平和と共生」運営委員の植草一秀氏は、「TPPを阻止しなければならないわけ」として、▽強欲大資本=多国籍企業のための枠組みである、▽ISDSで「主権(決定権・独立性)喪失」する、▽農業・食・医療と命や共済の分野でさまざまな災厄をもたらす――ことなどを説明。さらにノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏が、「TPPなどの自由貿易協定は『管理』貿易協定であり、特定の利益団体が恩恵を受けるために発効されるもの」「TPPは国際企業の最悪な利己性が強調される。欧州はそれを理解し、加入しないことを選んだ」などと指摘していることを紹介した。

ISDS、ラチェット、スナップバック(手のひら返し)などの毒素条項の他にも、TPPは様々な災厄をもたらす
国内未承認薬の審査・承認プロセスを簡略化
薬価決定システムに国外製薬会社の関与を保証
特許申請から承認販売までを特許期間に上乗せ
バイオ新薬データの保護期間を設定(8年間)
特許会社が提訴すると自動的に後発品の製造販売が停止する特許リンケージ制度
診断・治療技術に特許権を認める
食料の安全性基準を米国並みに緩和することを可能にするSPS条項

 さらに食料の安全性基準を米国並みに緩和することを可能にするSPS条項にも触れて、ビッグファーマシーやアグリビジネスを牛耳る大企業の利益と引き換えに、国民の命や健康を脅かそうとするのがTPPだと述べ、批准阻止を訴えた。

(『東京保険医新聞』2016年5月5・15日合併号掲載)