保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

意外と知らない柔道整復費制度――療養費学習会 他科の医師も多数参加

公開日 2015年06月15日

「療養費払い」と「受領委任払い」 医師の同意書の要否

協会・政策調査部は、5月23日に療養費学習会を開催し、39人が参加した。テーマは「療養費制度と柔道整復をめぐる動き~他科にも知ってほしい療養費の基礎知識~」と題し、大阪協会・副理事長の安藤元博医師が講演した。

保険給付の対象となる療養費には、はり・きゅう、あん摩マッサージ、柔道整復などが挙げられるが、原則として「償還払い」となっている。

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それぞれに保険給付の対象疾病が定められており、さらに、はり・きゅう、マッサージでは、医師による「同意書」も必須となる。施術を受けた患者はいったん10割の費用を支払い、後日に保険者に申請のうえ還付を受ける。

しかし、柔道整復については1936年(昭和11年)に特例として認められた「受領委任払い」という独自の取り扱いが今日まで続いており、患者は施術を受けた際に保険証の負担割合のみを支払うことで足りる。残りの費用は患者にかわって柔道整復師が各保険者に請求・支払を受けることができる仕組みだ。

患者の立場からすると、医療機関の窓口での支払と同じと錯覚しやすく、また同意書についても「応急時以外の骨折・脱臼」に限っては医師の同意書が必要だが、そのほかの施術については不要となっている。

安藤医師は、受領委任払いの“功罪”として「患者としては立替払いの必要がなく、保険者に請求する手間も省ける」とする一方、「初診時に患者が白紙の療養費申請書にサインしている事例が散見され、結果として不正請求やごまかしが起こりやすい仕組み」と警鐘をならす。

交通事故で受診した2歳児

とくに最近では「自賠責保険」や「労災保険」への請求額が急増しており、1例として実際に損害保険会社から自院に照会があった2歳の患者の事例を紹介した。

交通事故により初診で1日のみ受診して以降来院がなかったが、実はその後3カ月にわたって罨法、低周波、徒手整復、運動療法、テーピング固定の請求が接骨院からあがっていた模様で、会場からは驚きの声があがった。

医師と国民に療養費の正しい理解を

最後に安藤医師は、大阪協会での議論を紹介し、会員からの要望として「柔道整復を保険で給付が受けられる範囲の周知」、「厳格なレセプト審査と不適切事例に対する指導・監査のさらなる徹底」とともに「国民に対して医療と施術(医業類似行為)の相違を周知・広報すること」などが寄せられていると述べた。

東京協会・政策調査部が開催に先立って実施した「柔道整復療養費に関する会員アンケート」(集計結果は「診療研究」誌2015年5月号、27頁に掲載)でも、診療科によって療養費に関する医師の理解が十分でない実態が明らかになった。協会では、会員医師だけでなく患者に対しても広く療養費制度の正しい理解を広報するとともに、引き続き会員からの要望をもとに取り組みを進めていく。

(『東京保険医新聞』2015年6月15日号掲載)