マイナンバー制度 事業者へ過大な負担を危惧(世田谷・渋谷)

公開日 2015年04月25日

世田谷渋谷支部総会を3月10日に協会セミナールームで開催し、会員等11名が参加した。小林建一支部長の司会で2014年度支部活動報告および2015年度支部事業計画が承認された。今年度は世田谷と渋谷を合わせて30人が入会しており、会員からの紹介が入会への後押しになっていることが紹介された。

2016年1月より運用されるマイナンバー制度について、協会サポートセンター顧問の粕谷幸男税理士が解説した。

10月には国民・事業所に個人番号が通知され、2016年1月からは従業員に対する雇用保険の資格・喪失の届け出や、給与支払時の源泉徴収票などに個人番号を付記しなければならない。健保と年金は2017年1月より運用が始まる。

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取り扱い事業者は、ナンバーの収集、保管、利用、破棄までの事務と義務を負い、漏洩等の場合は罰則が科されるため、厳密な安全管理が求められる。10月までには従業員への周知と、考えうる様々な点で安全管理体制を準備しておかねばならない。

さらに、2017年7月を目処に患者の受診時のオンライン資格確認等が検討され、この場合、個人番号取り扱い事業者としてさらに厳重な取り扱いが求められるうえ、そのための設備投資の負担が想定される。

粕谷税理士は、「当初の目的は国民の利便性だったが、実質はサラリーマンの所得や申告漏れを把握するためのものになっている。80年代にグリーンカード(納税者番号制度)を導入する法案が成立したが国民の大反対で実施が見送られた経緯がある。国民や事業所に十分周知されておらず、大混乱が予想される」と危惧した。

具体的な取り扱いが今後明確になる中、協会としても会員への周知や、事業者への負担軽減策の他、患者国民の利便性につながらないマイナンバー制度や医療情報IT化に強く反対をしていくことが確認された。

(『東京保険医新聞』2015年4月25日号掲載)