監査に連動する指導のあり方は問題 医師の人権を守る取組みを(新宿)

公開日 2015年04月25日

3月12日、新宿支部総会が開催され、会員ら8人が参加した。溝口とく子支部長の挨拶のあと2015年度の活動報告が行われた。

その後、協会で個別指導の帯同弁護士として活躍している仲村渠桃(なかんだかり・もも)弁護士(東京中央法律事務所)から、「個別指導帯同への弁護士のかかわり方」と題し報告があった。

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仲村渠弁護士は自己の個別指導帯同の経験も踏まえ、「帯同がある場合とない場合では明らかに指導医療官の態度が異なる。実際に、依頼人の先生は丁寧な指導を受けていたが、横のブースからは指導医療官の怒声が聞こえたこともあった」と述べ、「現状の制度は監査をちらつかせて個別指導を強制し、理由も事前に明らかにせず30人分のカルテを準備させる。何ら法的な根拠もなく自主返還を要求し、さらに指導を『中断』をすることもある。この指導『中断』は指導大綱上も根拠のないものであり、いつ指導が再開されるか明らかにされないまま、被指導者は不安な毎日を過ごさなければならないし、1年を越える『中断』事例もある」と問題点を指摘した。

「また今後の取り組みに関して、帯同は弁護士法上も弁護士の正当な担当業務であるが、実態は当局が『帯同を認めてやっている』という域を出ず、弁護士の発言も認められない。これは全く不当な取り扱いであり、権利としての弁護士帯同を認めさせる運動を進めるべきだ」と訴えた。

参加者からは「個別指導を、声が他に筒抜けになる会場で行うことは非常に問題」、「指導医療官の資格を見直す第三者機関を設置することも必要」、「自主返還額が年々増加しており、個別指導が医療費削減の道具と位置づけられている」、「1993年に富山県で若い医師が人間性を無視した指導によって自殺に追い込まれた。あのような悲劇をくり返してはいけない」などの声があがった。

(『東京保険医新聞』2015年4月25日号掲載)