総合法案 重い負担と痛みを強いる――全国210議会から異議

公開日 2014年06月15日

 

医療・介護総合法案に盛り込まれた介護保険制度「見直し」に対して、多くの自治体が反対の声をあげている。5月9日までに国内の210地方議会が「反対」、「批判」、「懸念」を示す意見書を可決した。

総合法案がめざす計画は「施設から在宅へ、医療から介護へ」の標語の下、入院病床を42万床も削減し、患者を病院から追い出しながら、特別養護老人ホームの増設はせず、入所者を原則要介護3以上に限定し、介護の受給者を在宅に押し込めようとしている。そして要支援者への訪問介護・デイサービスという介護予防給付は、市区町村が責任を持つ「地域支援事業」に移行させ、全国一律の介護保険給付を行う国の責任を投げ捨てるものだ。

東京では2013年11月29日、東京都市福祉保健部長会が厚労省老健局長に対して「介護保険制度改正に対する緊急提言」を提出したのに続いて、2013年12月11日、特別区長会が「介護保険制度の見直しにかかる緊急要望」を田村厚労大臣へ提出している。また、12月13日には西東京市議会、12月19日には武蔵野市議会がそれぞれ意見書を採択している。

西東京市議会の意見書は、介護保険制度の見直しに対して「利用者、家族、介護労働者に重い負担と痛みを強いるものであると同時に、介護サービス抑制による介護度や認知症、疾病等の重症化で保険財政負担を増大させる」と述べ、「高齢者の人権と尊厳を保障し、家族の負担を軽くするために導入された公的介護保険制度の理念に反する」と批判。「介護保険制度の根幹を揺るがし、国の責任を大後退させるもの」だとして、その撤回を求めている。

訪問介護とデイサービスという、介護予防給付が地域支援事業に移されれば、地方自治体ごとに異なる給付内容となり、介護保険に対する受給権もあいまいで、まさに「保険あって給付なし」の状態になりかねない。事実、多くの地方自治体は地域支援事業を行う能力を持っていないと指摘している。

協会は5月14日、「医療・介護総合法案による介護保険制度の見直しを行わないよう国に対して意見書の提出を求める陳情(要望)」を都内市区町村議会宛に提出した。

6月22日の国会会期末をにらみ、協会は国会行動に取り組むなど、総合法案を廃案に追い込むために全力をあげる。

(『東京保険医新聞』2014年6月15日号掲載)