税務調査への対応 専門家によるアドバイスを(中央)

公開日 2013年11月05日

10月15日に中央支部例会を開催した。米田衆介支部長の挨拶に続き、1)消費税増税の医療機関への影響、2)国税通則法改定後の税務調査等の留意点について、東京あきば会計事務所の奥津年弘税理士(保険医サポートセンター税理士団)が解説し、17人の会員が熱心に耳を傾けた。

消費税率は2014年4月から8%への引き上げが決定され、2015年10月から10%に引き上げられる予定だ。

10%への引き上げが実施されると院外処方の診療所では経費増が110万円、消費税増加分26万円で136万円利益減少となる。また院内処方では薬剤の仕入れもあるので経費増が209万円、消費税増加分26万円で235万円の利益減少となり院内処方の影響がより大きいとの試算が紹介された。

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その一方、医療機関の収入源となる保険点数、予防接種、健診受託料の引き上げ幅は今のところ不明だが、診療報酬が院外処方で3%、院内処方で3・5%引き上げにならないと、現状の経営状況を保てない。現状ではそれだけの引き上げは見込めないとの予測もあると、厳しい見通しを示した。

また、税務調査の際に国税通則法改定により罰則が設けられたこと等を理由に「カルテ開示には応じなくてもよいのに開示を求められる」「新たに導入された帳簿等を税務署に持ち帰って詳細な調査をする『留め置き』を断ることが可能であるにもかかわらず、応じてしまう」など仕組みを知らないと、不利益な扱いを受けてしまうことになる。奥津税理士は税務調査の際に1人で対応するのではなく、専門家のアドバイスを受けるなど適切な対応が必要だと強調した。

その後の懇談では、当日出席した拝殿清名会長から「診療現場からの声を集約して、協会の要望事項に反映させて運動を進めたいのでご協力をお願いしたい」との呼びかけがあった。参加者からは「医療機関は最終消費者であり、消費税率が上がると経費増となり経営が悪化する。それに見合った診療報酬の引き上げを求めることと、医療機関へのゼロ税率適用を求めるべきである」などの意見が出された。

閉会の挨拶に立った細部副支部長は「風しんは一度収まっても再燃するおそれがあることや大人も感染することを認識してほしい。また先天性風疹症候群の児が今年は20人生まれていて、来年は増加することが懸念される。協会でも行政の責任で対策をたてるよう何度も要望しているので支援をお願いしたい」と協力を要請し、散会した。

(『東京保険医新聞』2013年11月5日号掲載)