ハンセン病施設退所者が訴え――既往歴を聞く際には配慮を

公開日 2013年07月25日

7月13日、地域医療部は並里まさ子先生(国立療養所栗生楽園元副園長、おうえんポリクリニック院長)とハンセン病施設退所者でつくる「あおばの会」を招き、「ハンセン病学習会~患者さんの秘密を守り、安心させる方法~」を開催し、会員ら31人が参加した。

並里先生は「一般生活習慣病疾患はハンセン病の既往歴のない場合と違いはなく、ハンセン病による知覚・運動麻痺部の障害には糖尿病性壊死などの難治性皮膚潰瘍の知見が役立つ」と指摘。「ハンセン病の患者さんでも、一般の診療所で十分に治療できる」と強調した。

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続いてハンセン病施設退所者で構成する「あおばの会」の会員から、「ハンセン病だったことが近所に知られると、自分の生活が破壊されてしまう。基本健診のため近所の診療所に行ったら、受付で『ハンセン病になったのはいつ頃ですか』と無神経にも大きな声で言われ、大変ショックだった」、「ハンセン病だったことが知られると、自分が差別されるだけでなく、子ども、親戚までもが結婚を断られる。どこで漏れるか分からないので、医師に病歴を話すことに非常に抵抗がある。医師には既往歴を聞く際に、この点を配慮してほしい」と切実に訴えた。

協会は、ハンセン病施設退所者の方にも身近に相談できる医療機関があることを知ってもらうべく、「あおばの会」からの要請を受けて協会役員医療機関を中心に退所者の方の一般診療を引き受ける協力医療機関名簿を作成した。この名簿を今年の夏に厚労省を通じて退所者に送ることができるよう、当局との交渉が行われる予定だ。

(『東京保険医新聞』2013年7月25日号掲載)