風しん・子宮頸がん ワクチン接種の推進を(江東)

公開日 2013年07月15日

江東支部は6月18日、亀戸文化センターで支部例会を開催し、12人が参加した。

今回のテーマは「ワクチンについて語ろう」。竹内透支部長の挨拶に続き、丸本百合子副支部長から「風しん予防とMRワクチン」「HPVワクチンの効果と副反応、接種推奨の見直し」について報告があった。

丸本副支部長は、「風しん患者が1万人を超えたと報じられている。厚労省は、『風しんから妊婦を守る観点から』として、妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族、10代後半から40代の女性、産褥早期の女性について接種を奨励している。しかし、職場での感染や、感染経路不明なものがあることから、妊婦とその家族だけを対象とした予防接種では全く不十分。これでは先天性風しん症候群(CRS)を防げない。妊婦以外のすべての成人にMRワクチンを接種する必要がある」と結論付けた。

風しん・子宮頸がん ワクチン接種の推進を(江東)画像

また、HPVワクチンの重篤な副反応報道に対して「自分の患者が重篤な副反応を起こしたらと不安に思う先生たちも多いだろうが、ワクチンによって救われる命があるならワクチンは推進すべきだ」と強調したうえで、「針を刺すことで迷走神経が緊張状態になる『血管迷走神経反射』により、重症の場合は失神やけいれんを起こし転倒の恐れもある。ベッドに横になりリラックスした状態で注射すると起こりにくい。注意深い観察で重篤化を予防できる」と報告した。

続いて、細部千晴・協会理事が「国際標準8ワクチンの定期接種化を急げ」と題して報告を行った。世界では8ワクチンが標準だが、日本では今年4月からやっと3ワクチン(HPV、ヒブ、小児用肺炎球菌)が定期接種化された現状に対し、「日本のワクチン行政は世界からまだまだ遅れている」と定期接種化のさらなる前進を訴えた。

討論では、活発な発言が相次いだ。

HPVワクチン接種勧奨の中止については、「6月14日に国は勧奨中止を決めたが、医師会に情報が回ってきたのが17日の月曜日だった。患者からこの事実を知らされた先生もいたのではないか。2005年5月に日本脳炎ワクチンの接種を差し控える通知が突然出され現場が混乱したが、このときの教訓が全く生かされていない」との意見が出された他、「重篤な副反応を避けるためには、やはり『かかりつけ医』が接種を行うことがポイントだ。不整脈のある中学生にサーバリックスを注射し接種後死亡した例があるが、かかりつけ医であればこうした危険は回避できたのではないか」といった発言も出された。

(『東京保険医新聞』2013年7月15日号掲載)