民間保険の現物給付 サービスの質の確保が課題(葛飾)

公開日 2013年07月05日

葛飾支部は6月7日に支部例会を開催し、6人が参加した。事務局から「民間保険の“現物給付”がやってくる」として話題提供があり、情勢を中心に討議した。

この間、金融庁で1)保険金の支払先を加入者が「自分」か「サービス提供者」に指図し、2)保険会社と提携する財・サービスの提供事業者を保険加入者に紹介する付帯サービスを合わせて提供、3)保険会社と提携事業者の間に財・サービス内容、質のレベル等についてルールを設けることで「直接支払い」という言葉で現物給付を解禁しようとする動きが強まっている。もし直接支払いが実現すれば、医療機関でも公的医療保険請求に加えて各民間保険会社への請求が必要となり事務作業が激増するなどの問題が考えられる。

民間保険の現物給付 サービスの質の確保が課題(葛飾)画像

事業者と保険会社のルールの内容までは金融庁は監督しないことから、患者にとってもサービスの質の担保がされないなどのリスクがある。

参加者からは「現時点で保険会社と提携するような医療機関は無いと思うが、営利病院が認められればそこから風穴を開けられてしまう」、「TPPと合わせ技で公的医療保険を切り崩そうとしている」などの声が出た。

松永貞一支部幹事は「身近な問題であっても説明して理解してくれる人はあまりいない。直接支払いの件は聞いただけでも複雑な話で、一般人が問題点を理解するのは不可能に近い。いかに“変だ”と思ってもらうことが大きな課題」と語った。

最後に石垣宏支部長が「少子高齢化、財政悪化などで改悪が続いているが、それでも日本の医療制度はまだ国民の健康に貢献している。アメリカ型の医療への転換路線をはねかえしていきましょう」と締めくくり、閉会した。

(『東京保険医新聞』2013年7月5日号掲載)