消費増税の影響 税制改正の動向を議論(練馬)

公開日 2013年04月25日

練馬支部総会が3月14日に練馬区役所展望レストランで開催され、9人が参加。東京あきば会計事務所の奥津年弘税理士が、改正国税通則法や増税の影響、税制改正の動向について講演し、懇談した。

奥津税理士は、国税通則法は課税庁の質問検査権限が強化され、帳簿等の資料を持ち帰る「留め置き」や、調査の事前通知を不要とする例外規定など違憲の可能性を含む、納得できない調査に遭遇したら協会等に相談し、声をあげていくことが大切。濫用させないように法解釈に条件を付けていく運動が必要と呼びかけた。

増税については、消費税10%になった場合、診療報酬は3~3.5%アップしないと院外処方153万円、院内処方251万円の負担増を補えないと試算を示した。財界が目指す20%を考えるとこのままでは立ち行かなくなると、ゼロ税率や軽減税率の必要性を述べた。

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税制改正の傾向としては、消費税増税に向けた景気回復の数値を取るための側面、増税後の消費の落ち込みへの対策(自動車取得税廃止や住宅取得控除拡大など)を挙げ、増税ありきの改正の狙いを強調した。とくに孫への教育費贈与は2年9カ月の期間限定であり、景気回復へあまりに誘導的であると注意を促した。

最後に社会保険診療の事業税非課税や措置法26条等の医業関係税制の検討状況を説明し、医院経営を取り巻く全体図と展望を広く示した。

また、申偉秀理事から「個別指導・監査の動向」について返還金額状況・実施件数・取り消し事例を中心に話題提供があり、個別指導に臨む基本姿勢や請求の注意点について理解を深めた。

参加者からは「非課税といいながら医療機関が最終消費者とされていることが問題だ」「小児科にとって消費税増税の影響は大きく、予防接種を控える医療機関も出てくるのではないか。任意ではなく定期接種の充実が必要だ」「公的保険の縮小が危惧される」等意見が相次いだ。医療法人やTPPにも話題が拡がり、盛況のうちに散会した。

(『東京保険医新聞』2013年4月25日号掲載)