入院基本料等への管理栄養士配置義務の撤回を求める要望書

公開日 2012年04月18日

2012年4月18日

厚生労働大臣
小宮山 洋子 殿

東京保険医協会
病院有床診部長 細田 悟

 拝啓 国民医療の向上に向けた日頃のご尽力に敬意を表します。

 さて、2012年診療報酬改定において、入院基本料・特定入院料(以下、「入院基本料等」)の算定要件に管理栄養士の配置が義務付けられました。2年間の経過措置が設けられましたが、全ての入院医療機関で管理栄養士の配置が必要となり、配置できない場合は、入院基本料等が算定できなくなります。

 今次改定では、「褥瘡対策管理加算(20点:入院中1回)」と「栄養管理実施加算(12点:1日につき)」が廃止され入院基本料等の基準とされましたが、入院基本料等はわずか11点しか引き上げられませんでした。例えば50床の病院では1ヵ月間満床で稼動しても11点の引き上げでは16万5千円増に止まります。これでは病床数の少ない有床診療所や小規模病院の管理栄養士の人件費に見合わず、診療報酬ではまかなえません。

 東京都内においては、人件費や地代が高く、有床診療所や小規模病院では低い入院基本料により厳しい経営を迫られており、施設数は減っております。低い給与では確保が難しく管理栄養士の配置は困難です。

 一方、医療法では、特定機能病院は管理栄養士1名以上、病床数100床以上の病院は栄養士1名の配置が義務付けられております。さらに、入院時食事療養においては、届出が必要な「入院時食事療養費(1)」を算定する場合のみ管理栄養士又は栄養士の配置が求められております。今回の入院基本料等に管理栄養士の配置を義務付ける改定は、医療法等との整合性もありません。

 そればかりでなく、管理栄養士は医療機関の他、特定保健指導実施者としての役割をはじめ、保健所や教育施設、福祉施設など様々な分野で求められております。さらに地域偏在もあり、管理栄養士の数は充足しているとはいえません。国は、管理栄養士の必要性を認め、入院医療機関に配置を義務付けるのであれば、管理栄養士の養成および偏在の解消に責任を持ち、診療報酬もそれにみあう十分な評価をするべきです。

 以上の理由から、下記事項の早急な実現を強く要望いたします。

敬具

一、入院基本料、特定入院料における管理栄養士の配置義務を撤回すること。

一、栄養管理実施加算を従来どおり、独立した加算点数とすること。

以上

入院基本料等への管理栄養士配置義務の撤回を求める要望書[PDF:111KB]