環境副大臣発言に抗議し、水俣病被害者救済特措法の申請期限撤回を求める

公開日 2012年06月11日

2012年6月11日

環境大臣 細野 豪志 殿
環境副大臣 横光 克彦 殿

東京保険医協会
公害環境対策部
部長 赤羽根 巖

 水俣病被害者救済特措法による申請者は、2010年5月の施行以来2年余りの期間に熊本・鹿児島・新潟の3県を合わせてすでに5万人を超えている。対象地域外を含め、救済を求める潜在被害者がまだ多数存在していることを窺わせる。

 しかし、政府は被害者救済に逆行し、患者団体等の強い反対を押し切って、特措法に基づく救済措置の申請を本年7月末で打ち切ると一方的に表明し、強行しようとしている。

 報道によれば、水俣病不知火患者会が水俣病被害者特措法による救済申請に向けた被害者掘り起こしのための一斉健診を6月24日に行うと発表したことに対して、横光克彦環境副大臣は「7月末の締め切り以降はそういう動きは慎んで欲しい。永久に水俣病問題のけじめがつかなくなる。ほかの団体にも迷惑だ」と、事実上一斉健診の中止を求める内容の発言を行ったという。潜在患者の掘り起こしに懸命に取り組んでいる患者団体の行動に不当に干渉し、申請期限の延長・撤回を拒否したともとれる発言であり言語道断である。

 水銀は除去されたわけではない。また、山間部の住民は汚染魚を食していないはずだからという一方的な理由で救済対象から除外され放置されたままである。二世・三世への影響や救済はどうなるのか。副大臣が「きりがない」と発言することは被害の現状認識のない言語道断な発言である。政府は、締め切り後は申請を一切認めず、取り残された被害者を切り捨てる趣旨であろうか。

 救済対象者は症状等があると判断した専門医の診断書を持つ者であり、期限で切ることに合理性は全くない。期限を切らず、被害者を最後まで徹底的に救済するというのが加害企業と対策を怠った政府の示すべき姿勢である。

 よって、水俣病被害者特措法による申請を2012年7月末で締め切ることに断固抗議し、申請期限の撤回を強く要求する。

以上

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