保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

消費税引き上げ法案と社会保障制度改革推進法案の成立に抗議する

公開日 2012年08月14日

2012年8月14日
東京保険医協会
政策調査部長 須田 昭夫

 社会保障・税の一体改革関連法が8月10日の参院本会議で可決された。消費増税と福祉の削減から作り出された財源は、赤字国債の解消には向けられず、大型公共事業と大企業減税の穴埋めに使われることになる。

 消費増税と共に「社会保障制度改革推進法」(以下、「改進法」)も一括採決されたが、十分な論議は尽くされなかった。具体的な法令は財界首脳らも加わる「社会保障制度改革国民会議」の審議を待つことになるが、自民党の「社会保障制度改革基本法案」をほぼ丸飲みしており、多くの問題点を抱えている。

 これまで民主党が掲げていた「社会保障の機能強化」という言葉が「改進法」にはなく、「負担の増大の抑制」という言葉が使われている。その意味は「給付の重点化・適正化」であり、社会保障給付の抑制である。方向転換を明言したことになる。また民主党が言っていた「支えあう社会の回復」という文言が消えて、「自助、共助、公助の最適バランスに留意し、自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していく」となり、家族相互の助け合いを通じた「自助」が強調され、公助の役割は大きく後退することになる。

 1961年に国民皆保険が達成されて以来謳われてきた「国民皆保険の堅持」ということばが「改進法」から消えて、「原則として全ての国民が加入する」となり、例外を容認することになった。皆保険が「原則」に後退したことは、「いつでも、どこでも、だれでも」良い医療を受けられる体勢を放棄することであり、棄民政策である。

 「社会保障制度改革推進法」はさらに「保険給付の対象となる療養の範囲の適正化」を求めている。医療と福祉の分野において「適正化」という言葉は「削減」を意味する。

 医療以外にも数々の問題がある「改進法」であるが、最大の問題点が2つある。その第1点は社会保障財源について、「公費負担の費用は消費税収を主要な財源とする」としていることである。低所得者に負担感が大きい消費税は、社会保障の財源として最も不適切であることは、多くの研究者の意見が一致していることである。さらに非難されるべき第2点は、民自公3党による消費増税法案の付則第18条2に、消費増税で生まれる財源を公共事業に投資する「成長戦略」に重点的に配分できるように定めたことである。これは社会保障のために消費増税を行うと言っていたことと完全に矛盾しており、「法人税の大胆な引き下げ(20%台)」まで計画していることは、国民に対する全くの裏切り行為である。

 よって、医療と介護を切り捨てて国民皆保険制度を崩壊に導く「社会保障制度改革推進法」と、日本経済に過酷な試練を与える消費増税に抗議し、政策の速やかな転換を要求するものである。

消費税引き上げ法案と社会保障制度改革推進法案の成立に抗議する[PDF:95KB]

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