TPP交渉参加の意向表明に抗議します

公開日 2013年02月28日

2013年2月28日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 

 拝啓 貴職におかれましては、日頃より果たされている重責に心より敬意を表します。

 私ども東京保険医協会は、東京都の医科保険医5,270人で構成し、国民医療の向上と保険医の経営と権利を守るために活動している団体です。2月22日、安倍普三首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明らかになった」として、TPP(環太平洋連携協定)の交渉参加に踏み出すことを表明し、政府の専権事項として国会の承認なしで決断するとしています。

 私たちは、国民皆保険制度を守る立場から、TPP交渉参加の意向表明に抗議するとともに、改めてTPP交渉参加を断念するよう強く求めます。

 日米会談後に発表された共同声明は、冒頭で「日本が交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、2011年11月12日に示された『TPPの輪郭(アウトライン)』の包括的で高い水準の協定を、他の交渉参加国とともに達成していくことを確認する」としています。『TPPのアウトライン』では、関税と非関税障壁の撤廃が原則と明記されており、「聖域」など存在しない旨を確認したことにほかなりません。

 その上で、「最終的な結果は交渉の中で決まっていく」ことから、「交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することを予め約束することを求められるものではないことを両政府は確認する」としています。最終結果は交渉次第となり、交渉参加の時点で全ての関税の撤廃を予め約束する必要はないということにすぎません。交渉の結果として、「例外」品目が認められる保証はどこにもないのです。

 自民党が政権公約に掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする」ことにおいて、国民が関心を寄せている点は、農業・食の安全、公的医療保険、共済保険など経済・生活に大きな影響のある項目を「聖域」として規制撤廃の対象から外せるかどうかにあります。共同声明は、全ては交渉次第であるとして、対象からの除外を確約していません。安倍首相の参加表明は、国民の関心・声に応えるものとは到底いえません。

 医療分野においては、これまでも、アメリカは、薬価決定過程への外資企業参加、新薬の特許保護期間の延長など、薬価の更なる引き上げにつながる改革、外国事業者を含む営利企業による病院経営など、国民皆保険の形骸化にいたる「制度改正」を要求してきています。医療や国民生活に大きな影響を与えるTPP交渉参加は断じて許されません。

 当協会は、政府に対して、国民皆保険と日本の医療を崩壊へと導くTPP参加を断念するよう強く要請します。

以上

TPP交渉参加の意向表明に抗議します[PDF:120KB]

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