入院基本料等への管理栄養士配置義務の撤回を、再度求めます

公開日 2013年05月07日

2013年5月7日

厚生労働大臣 殿
厚生労働省保険局医療課長 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名
病院有床診部長 細田 悟

 

貴職におかれましては国民医療の充実に向けた日頃のご尽力に敬意を表します。

さて、2012年診療報酬改定において、入院基本料・特定入院料(以下、「入院基本料等」)の算定要件に管理栄養士の配置が義務付けられました。2年間の経過措置が設けられましたが、管理栄養士が不足するなか、配置ができずに、このままでは閉院せざるを得ないとの状況が多数寄せられ、当協会として1年前に管理栄養士の配置義務撤回の要望書を既に提出した所です。

その後、当協会は2012年6月~7月に、都内271件の有床診療所を対象にアンケート(回答回収60件、回答率22.1%)を実施し、診療科別の管理栄養士の雇用状況が判明しました。雇用状況は肛門科で16.6%、整形外科で27.2%、外科と産婦人科で27.7%、内科系で40.0%、人工透析と脳神経外科で50.0%と低い状況でした。

さらに「2014年改定で管理栄養士配置要件が存続された場合の対応」に関する質問について、管理栄養士の雇用がない有床診療所では、「病床を継続する」が51%、「病床の閉鎖を考慮する」が20%、「閉鎖する」が5%という回答を得ました。2012年改定では入院基本料等は11点の引き上げでしたが、それで管理栄養士を雇うことは困難です。とくに病床数の少ない有床診療所や小規模病院は、地域医療確保のために一定の役割を果たしており、地域に必要な病床の継続を希望しつつも、管理栄養士の人件費の捻出は不可能であり、このままでは閉院せざるを得ない状況が明らかになりました。

その他アンケートに寄せられた意見では、「有床診療所は診療科によって特性があり、外科や肛門科、眼科等で手術の短期間の入院のみ行っているところでは、栄養管理業務がほとんどなく、管理栄養士は必要ない」との回答も見うけられました。

一方、管理栄養士は医療法では、特定機能病院のみ、入院時食事療養では「入院時食事療養費(1)」を届出する場合のみ配置が求められております。入院基本料等に管理栄養士の配置を義務付ける2012年の改定は、医療法等との整合性もありません。また管理栄養士は医療機関の他、特定保健指導実施者としての役割をはじめ、保健所や教育施設、福祉施設など様々な分野で求められておりますが、地域偏在もあり、管理栄養士の数は充足しているとはいえません。

以上の理由から2014年の点数改定まで1年足らずとなった現在、管理栄養士の配置等について、下記事項の早急な実現を強く要望いたします。

一、入院基本料、特定入院料における管理栄養士の配置義務を撤回すること。

一、栄養管理実施加算を従来どおり、独立した加算点数とすること。

以上

入院基本料等への管理栄養士配置義務の撤回を、再度求めます[PDF:119KB]