公開日 2013年05月15日
2013年5月15日
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
東京保険医協会
会長 拝殿 清名
貴職におかれましては、日頃より国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。
私ども東京保険医協会は、東京都の保険医約5,260人で構成し、患者・国民の命と健康、皆保険制度を守るために活動している団体です。
さて現在、東京都及び首都圏を中心に全国で風疹が流行しております。5月8日、国立感染症研究所は、今年の全国の風疹患者数が4月28日までに累計5,000人を超えたと発表しました。過去5年で最多だった2012年の1年間の患者数の倍以上の人数です。また、風疹は通常春から夏にかけて流行期を迎えることから、今後も全国的に感染が拡大することが危惧されます。
2012年3月には成人男性が髄膜脳炎を発症した例もあるように、今回の流行は過去に定期予防接種の機会がなかった世代を含む20歳代から40歳代の男性を中心に感染が続いているのが特徴です。
東京都では、妊娠希望の女性と妊婦の夫が風疹ワクチンを接種する場合に、区市町村への経費助成をしていますが、ワクチンを接種しても免疫を獲得しにくい人もいるなかで、すでに10人以上の発症をみている先天性風疹症候群を防ぐには、20歳代から40歳代の男性にも接種を勧奨し、感染する機会を作らないことが不可欠です。これは女性のみを対象にした予防接種だけでは、風疹の感染→先天性風疹症候群を防げなかった過去の例を見ても明らかです。集団免疫は新生児を守るだけではなく国民全体の利益につながります。
全国的な風疹の流行拡大を阻止するには国による財政支援が必要です。先天性風疹症候群については、妊娠“初期“に風疹にかかると危険であることなど、正確な情報をより周知することも必要です。
以上のことから、下記の点について要望いたします。
記
- 20~40歳代のすべての男女に対して、自己負担なしに風疹の予防接種を実施できるよう、地方公共団体に対して必要な財政支援を行うこと。
- 現在の風疹の大流行による重篤な脳炎および先天性風疹症候群の発生を防止するため、国民への情報提供及び予防接種の勧奨に一層努めること。
以上