共通番号法案の参議院通過に抗議する

公開日 2013年05月27日

2013年5月27日
東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 5月24日、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」案(以下、共通番号法案)が参議院本会議で成立しました。

 共通番号法案に対して、わたしたちは以下の項目を挙げて、反対の立場を表明してきました。

  1. すべての国民に背番号をつけて、一人ひとりの個人情報を国が一元的に管理するとともに、医療情報との連結や、民間利用を視野に入れていることは、国民のプライバシー権を侵害する。
  2. 国民にとっての具体的な利便性が少なく、費用対効果の開示が全く不透明である。
  3. 低所得者の負担軽減ではなく、社会保障給付を削減するための道具となる。
  4. 情報漏えいの機会を作り出し、「なりすまし」によるIT犯罪をひきおこす。
  5. 国民に内容が知らされず、国民的な論議が不十分である。

 さらに共通番号制には違憲の恐れがあることが指摘されています。最高裁は2008年、住民基本台帳ネットワークシステムについて、格納されたデータを番号で紐づけして集める「データマッチング」の具体的危険性がないことを理由にして、「憲法13条のプライバシー権や人格権を侵害しない」と、合憲の判断を下しました。共通番号制は、各行政分野の個人情報に付番して集める制度ですから、この最高裁の憲法判断に抵触します。

 憲法13条は国家が個人のプライバシー権や人格権を侵害してはならないことを規定しています。国民の知らないところで個人情報が利用され、私生活における平穏が脅かされることがあってはなりません。

 わたしたちは、国による国民管理と国民監視の強化につながる共通番号法案の成立に強く抗議します。そして共通番号法案成立後も、その撤廃を求めてゆくものです。

以上

共通番号法案の参議院通過に抗議する[PDF:97KB]