障害年金の受給手続き時の診療録(カルテ)写しの提出の撤回を求めます

公開日 2013年09月05日

 協会は9月5日、東京都職員の「障害年金の受給手続き時の診療録(カルテ)写しの提出の撤回」を求める要望書を、東京都職員共済組合事務局に提出した。
 東京都職員は、うつ病などの精神疾患にかかわる障害年金を申請する際、当該疾患の「カルテの写し」を初診から全て添付して提出するよう共済組合から求められている。障害年金申請の添付書類は、関連法規において「診断書」で足りるとされており、「カルテの写し」の提出義務はない。共済組合が内部規定で提出を必須のものとし、提出できない組合員は受給申請が困難な状況である。患者のプライバシーを侵害し、医師と患者の信頼関係にも有害な「カルテの写し」の提出は撤回すべきだ。

 2013年9月5日

東京都職員共済組合事務局 年金保険部年金課長 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 

 拝啓 貴職におかれましては東京都民のための施策推進に、日夜励む東京都職員の福利厚生向上のためにご尽力されておられることに、敬意を表します。

 当協会は東京都内で保険診療を行う保険医約5,300人を擁する保険医の団体であり、会員の多くは日頃、東京都職員の方々の診療も担当しています。

 さて、障害年金受給手続きに際し必要となる書類の簡素化について、7月3日付けで要望書を提出いたしましたが、関連法規を精査した結果、要望事項を以下のように変更させていただきます。

 貴組合の障害年金の受給手続きにかかる事務取扱要領の定めにより初診時からのカルテのコピーの提出が求められています。しかし、障害年金の受給手続き時に添付する資料について、他法(地方公務員等共済組合法、厚生年金保険法、国民年金法の施行規則・施行規程)では、診断書で足りるとしています。

 また日本年金機構法では、障害年金を含む年金の申請にあたり、厚労省及び同機構に対し個人情報の保護を強調しています。診療録の写しの提出などはこの見地からも求めるべきではないと考えます。

 さらに貴組合の事務取扱要領はあくまで内部規定であり、共済組合法その他の年金に係る法令、個人情報保護法などの範囲内で事務取扱要領を定めるものと考えます。それにも拘わらず、共済組合法等の範囲を逸脱して、障害年金受給申請をする組合員(以下「組合員」)に義務のない診療録写しの提出を課しています。

 しかも、診療録写しは組合員自らが障害年金受給手続きに必須のものとして、組合員の意思に拘わらず半ば強制的に医療機関に開示請求をして、費用も組合員の負担となり、組合員にとって大きな負担となっています。また診療録写しが準備できない組合員は、障害年金受給申請をすることは不可能で、障害年金受給の権利を、結果として阻害するものになっています。

 以上の理由により、貴組合の障害年金受給手続きに係る事務取扱要領において、初診時からの診療録写しの提出を求めるのは明らかに違法、不当といえます。

 つきましては、違法、不当な状態を解消し、障害年金を必要とする貴組合員の受給申請を円滑に進めるため、下記の措置を直ちに実施されることを強く要望いたします。

敬具

 共済組合法等を遵守し、関連法規との整合を図るという観点からも、貴組合の事務取り扱い要領において障害年金の受給手続きの提出書類は診断書とし、診療録(カルテ)の写し(初診日から直近の日のもの)の提出を求めないこと。

以上

障害年金の受給手続き時の診療録(カルテ)写しの提出の撤回を求めます[PDF:134KB]

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