公開日 2013年05月25日
東京保険医協会が加盟している「共済の今日と未来を考える東京懇話会」は、5月14日、「TPPと共済を考える――自治・主権回復への協同」と題して、学習会を開催し46人が参加した。講師には青山学院大学の本間照光教授を招いた。
TPP――共済制度への規制強まる
本間氏は1994年・1996年の日米保険合意、さらには多くの自主共済を募集停止や廃止に追い込んだ2005年の保険業法改正で、自国の保険会社を日本に参入させたいという米国の意向が、いかに日本政府の金融政策に反映されてきたかを語り、これと同様の流れの上にTPPへの参加があると指摘した。
TPPに参加すれば、米国通商代表部(USTR)が要求する通り、農協などの制度共済を含めた全ての共済は、営利保険会社と同様に金融庁の監督・規制水準下におかれる懸念が一層強まる。
社会保険――金融庁の監督下に
2005年の保険業法改正は、共済の規制だけが目的ではなかった。健康保険や介護保険などの政府の社会保険にも保険業法の網がかかった上で「適用除外」となっているにすぎず、社会保険を金融庁の監督下に入れる枠組みはすでにできあがっている。社会保険の保険商品化は保険業法上ではいつでも可能になった。
今後、生命保険の現物給付化の動きとあわせて、TPP参加は、共済だけでなく社会保険の営利化を進め、社会保障制度自体の崩壊を招きかねないと本間氏は警鐘をならした。
社会保険制度改悪に反転攻勢を
学習会ではフロア発言も行われ「アメリカの生損保資本による対日攻勢により、日本の共済制度と社会保障制度が根こそぎ崩壊するかもしれない。今日の学習会を契機に社会保険制度改悪の動きに対して反転攻勢をかけたい」「助け合いの共済を守り、発展させたい」などの発言があり、盛会のうちに閉会した。