保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

国家戦略特区学習会を開催 脱法特区の手口を探る

公開日 2014年11月25日

講演する永山利和氏

協会は11月4日、永山利和氏(元日本大学教授、行財政総合研究所理事長)を招き国家戦略特区学習会を開催し、30人が参加した。

「特区」制度はメキシコを発端に世界各地で創設されているが、永山氏は「国内に複数基準を作る不公正性・不平等性の問題が根本にある」という「脱法」の意識を前提に、話を展開した。

日本では2002年小泉政権時代、アメリカから提出される対日年次改革要望書の特区創設を求める提言を受けて、同年12月構造改革特区法が成立、翌2003年に施行となった。小泉内閣の構造改革特区は、国際競争力強化の点では国家戦略特区にも共通している。しかし、狙いは智恵と工夫で地域経済を活性化させるために、進展の遅い分野の規制改革を地域の自発性で最大限発揮させる形で勧めようとしていた。

菅内閣の「(国際戦略)総合特区」では、国際戦略特区と地域活性化総合特区を分類し、包括的・戦略的チャレンジをオーダーメイドによる総合的支援、地域からの規制改革の提案等で国と地方の協議でプロジェクトを推進した。

これに対し、今般の国家戦略特区は「国際経済活動拠点の形成のための規制改革施策を総合的・集中的に推進する」ための“内閣主導特区”であることを強調した。

30人が参加した国家戦略特区学習会(協会セミナールーム)

手法の問題点として「関係大臣を除外し、所管法規を無効化する首相・内閣府直轄の強力なトップダウン」「特区区域指定によって、条文変更なき法改正を実現できる」などの特徴を挙げ、国会や行政府等の法規、専門性を封印し無力化する愚を犯していると指摘した。

東京都では千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、大田、渋谷の9区が国家戦略特区に指定され、都は①株式会社設立病院での外国医師による外国人患者の診療プロジェクト、②国が行うジェネリック承認審査を東京都でも可能とし、保険適用までの期間を大幅に短縮する「東京都版PMDA創設」プロジェクト、③医薬品開発分野で産学連携を進める「創薬のメッカ」プロジェクトを提案している。永山氏は「これらのプロジェクトが成長に結びつく経済的、技術的回路が見えない」と首をかしげた。

「日本再興戦略~改訂2014」では国家戦略特区は2014~2015年度が集中的な取組期間に設定されており、更なる注視が必要だ。

(『東京保険医新聞』2014年11月25日号掲載)