有床診療所懇談会を開催 有床診の特長は一元的管理・病院との連携――外来・在宅・入院まで診る

公開日 2013年04月05日

講演する葉梨之紀先生
無床化または休床の理由

病院有床診部は3月7日、有床診療所懇談会を協会セミナールームで開催し25人が参加した。講師は葉梨之紀先生(神奈川県保険医協会会員・日本医師会常任理事/全国有床診療所連絡協議会会長)。「地域医療体制における有床診療所の役割と重要性」をテーマに講演を行い、その後懇談した。

初めに小川一夫副部長から「約六年ぶりの有床診療所懇談会の開催にあたって、都内有床診療所(協会会員201件、会員外116件)へ、参加案内と病床の稼動状況率を確認した結果、会員では15.9%、会員外では約6割が無床診化(稼働していないを含む)していたことが判明した。今後の都内おける有床診療所のあり方についても懇談したい」と挨拶した。

無床化または休床の理由 講演で葉梨先生は、有床診療所の病床数の減少に歯止めがかからない理由として、「介護施設より低い入院基本料で、入院の赤字を外来で補填している。無床化の要因は人件費が高いなどの理由から看護職員の雇用が難しい、医療の多様性を求める患者の意識変化、医師の高齢化等で入院患者の管理が負担になっていることなどだ」と指摘した。さらに、有床診療所の病床が果たしている役割は「病院からの早期退院患者の在宅・介護施設への受け渡し、緊急時に対応できる在宅医療の拠点、終末期医療等」であるとし、地域でその機能を発揮するために、診療報酬の引き上げが必要と訴えた。さらに第6次医療法改定で有床診療所の定義を「かかりつけ医が自ら外来・在宅と一連で入院医療を実践する医療施設」等に位置づける必要があると説明した。

管理栄養士の配置義務化について「日医は厚労省へ配置義務化の撤回を繰り返し要望している」とし、次回診療報酬改定で撤回するために引き続き要請していくことや包括化されている点数の引き下げを許さない取り組みも重要であると説明した。

最後に、有床診療所の今後の課題について厚労省や中医協等に対して継続的に有床診療所の現状把握と病床維持のための改善対策を求めていくことが必要であると強調した。

25人が参加した有床診療所懇談会

懇談では参加者から、「ベッドの稼働率を上げるには、診療報酬の改善が必要。しかし、それと併せて施設基準や人員基準が厳しくなると、結局有床診療所を閉鎖せざるを得なくなるという問題もある」、「東京では土地がないため、地域連携の希望があっても介護保険の施設を併設することができない。また、強化型支援診療所における連携で、有床の医療機関が連携体制に加わることで診療報酬の評価が高まることから有床診療所の今後の役割が増すのではないか」、「有床診療所の名称が行政にも一般市民にも知名度が低い。他に適切な名称変更はできないか」、「有床診療所で10年間日帰り治療をしているが、食事を1食も提供したことがない。管理栄養士は診療科によって必要度が全く異なる」等の意見が出された。

葉梨先生は一つひとつ丁寧に回答した後に、「専門で特化するのではなく病院と診療所の連携、介護施設等との連携機能体制のなかで機能を発揮していくことが今後の都市型の有床診療所のあり方になるのではないか」とまとめた。