東雲住宅 原発事故から約2年 避難者の状況は未だ不安定

公開日 2013年04月25日

協会地域医療部は、3月14日、赤羽根巖副会長と岩田俊理事とともに、福島県からの避難者の現状を知るべく、江東区社会福祉協議会(以下、「江東区社協」)を訪問した。

福島からの避難者 今も1,200人

36階建ての東雲住宅外観

東京都には福島第一原子力発電所事故の影響などにより福島県からの避難者7,415人が暮らしている。江東区にある東雲住宅は、もともとは国家公務員宿舎であったが、東京都が応急仮設住宅として借り上げたものだ。今は福島からの避難者約1,200人が入居している。

江東区社協は避難者の孤立化、引きこもりを防ごうと、週2回、東雲住宅1階の集会所でサロンを開設している。利用者からは「サロンがあるからうつ病にならずにすんだ」といった声も聞かれ、効果をあげている。しかし、サロンへの参加者が固定しがちであるという課題もある。サロンへの参加者は2~30人程度。そのほとんどが50歳以上の女性だ。

また、江東区社協は住民の現状を把握すべく2012年6月から全戸訪問を実施してきたが、本人に会えるのは2割程度である。

この先も住めるかは不透明

江東区社協担当者と懇談する赤羽根副会長(中央)と岩田理事(右)

東雲住宅への避難者は、出身地、年齢、性別、家族構成が様々であるため、それぞれ置かれている状況が異なる。たとえば福島県からの避難者といっても、双葉町や大熊町など福島第一原子力発電所の30kmの範囲内である避難等対象区域内からの避難者であれば慰謝料として月額10万円と所得補償が受けられるが、それ以外の自主的避難等対象区域からの避難者は定期的な賠償・補償を受けられない。避難等対象区域内からの避難者は定職に就く者よりもアルバイト等が多いが、自主避難者は定期的な収入がないので定職に就くなど自立に向けて行動している方が多いとのことだ。

さらには避難者が置かれている状況も不安定だ。東京都は応急仮設住宅で避難者を受け入れる期間を、当初の1年間であったものを3年まで延長したが、この先さらに延長されるかは不透明である。東雲住宅では年度末にならないと更新できるかどうか分からないため、特に就学児童を持つ家庭、さらにはこれから就学する児童を持つ家庭の大きな負担となっている。

江東区社協では「個々の住民によって異なる健康、福祉、住居などの公的ニーズをすくい上げ、公的支援につなげるのも社協の役割。住民の現状を把握すべく戸別訪問を夜間に行うなど多くの避難者に会うとともに、住民の孤立化を防ぐためカラオケ大会や囲碁大会などのイベントを開催したい」としている。