保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対する意見

公開日 2013年12月13日

2013年12月13日

厚生労働省社会 援護局保護課企画法令係 御中

東京保険医協会 会長 拝殿 清名
研究部長 申 偉秀

 2008年4月の診療報酬改定で「療養担当規則に後発医薬品の使用を考慮するよう努めなければならない」とされたのと同時に、同年4月1日付通知「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」が発出された。

 この通知は事実上、生活保護受給者に対して強制的に後発医薬品の使用を求めていることや、後発医薬品の中には品質の問題がある製品も存在することなどから厚労省に批判が集中して、同年4月30日に通知が出しなおされた。出された意見に基づき、医療機関は一般の患者と同様に生活保護の患者にも「後発医薬品の使用を考慮するよう努めること」、薬局は「後発医薬品の説明を適切に行い調剤に必要な体制を確保する」という内容に改められた。また2012年診療報酬改定では、診療報酬点数表で後発医薬品に関わる「処方せん様式変更」に対応する後発医薬品使用促進策が盛り込まれた。

 2013年5月16日には「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」の通知が出され、「2011年6月時点の生活保護における後発医薬品の使用割合は、医療保険全体の後発医薬品の金額シェア8.5%(平成23年社会医療診療行為別調査による)に対し、生活保護分は7.5%(平成23年医療扶助実態調査による6月審査分)にとどまっていた。同通知で厚労省は生活保護分の後発医薬品の使用率を高めるために、「生活保護受給者の便益を損なわないよう配慮しつつ」としながらも、薬局と患者により強く促進策が提示された。

 一方、東京保険医協会が2012年5月に実施した会員アンケートでは、多くの会員から後発医薬品の問題点が指摘された。すなわち、「後発医薬品に変更したら、先発医薬品に比べ効き目が劣ることがある」「副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)」「後発医薬品会社から情報提供が得にくい」「供給が不安定」など少なからぬ意見が出されている。現状では後発医薬品は、その全てが先発医薬品と同一の効能効果を有しているとは言いがたいものである。

 たびたび使用促進の通知が出されても、医療担当者、生活保護受給者(患者)の意向は、現状では後発医薬品の品質・副作用等に未だ問題が多く、問題のある後発医薬品はそれらの点が改善してから使用したいのが実情である。先発医薬品と後発医薬品が同等のものであるならば、後発医薬品を使用して、医学的な問題は生じない事を示す、臨床的モデル事業を行い、結果を公表すべきである。

 後発医薬品が先発医薬品と同一の効能効果を有し、情報提供体制を確保し、流通量も充分であるならば、国民自らが進んで後発医薬品を使用しているであろう。現実がそうなっていない理由を真摯に検証すべきと考える。弱い立場の生保受給者を対象に躍起になって使用促進するのではなく、国民の公僕である公務員こそが率先して後発医薬品を使用すべきではないか。市場経済では「一物二価」はあり得ない話であり、価格差が生じるのは品質が異なるからであるのは常識である。例えば、先発医薬品を後発医薬品と同価格まで下げた場合、果たして後発医薬品を選択する国民の割合はどの程度であろうと、思いを致すべきである。

 生活保護法施行規則の一部改正は中止し、すべての後発医薬品の品質は先発医薬品と同等となるような品質管理、情報提供体制の充実、充分な供給体制の確保策の実施が先行することを求める。また医療財政の改善を目指すのであれば、多くの財源が注ぎ込まれている先発医薬品の薬価の方こそ後発医薬品が上市された後は適正化すべきである。従来からあった薬剤とさほど差がない新薬、いわゆる「ゾロ新」をなくしていくことも厚生行政として進めるよう要望する。

以上
生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対する意見[PDF:127KB]

 

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