先天性風疹症候群(CRS)児と家族への対策および成人男女へのMRワクチンの接種助成を求めます

公開日 2013年12月26日

2013年12月26日

東京都福祉保健局長 川澄 俊文 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 当会は去る7月19日、東京都知事宛てに「2014年度 東京都予算等に関する請願」を提出し、都がCRSについて都民に対する正確な情報周知に取り組むとともに、CRSを心配する妊婦や家族等に対するメンタルケアや健康、医療、福祉等についてのカウンセリングを行う体制を整えることを求めました。これに対し、9月13日に開催された本請願に基づく貴局との懇談では「東京都としても風疹および先天性風疹症候群についての啓発・情報提供は繰り返し行っており、今後もこれを行っていきたい。また一方、感染科学研究の分野では風疹流行および先天性風疹症候群の発生抑制のための緊急提言(2004年8月、以下「提言」)が既に出されており、それに基づく取り組みが行われている他、また日本産婦人科学会等での診療ガイドラインに基づき、産科診療分野あるいはそれと連携した小児科診療分野の先生方にも、風疹に罹患した妊婦の方への適切な対応に努めていただいているものと承知している。今後も引き続き、関係機関と協力しつつ、都民および関係者における風疹および先天性風疹症候群の理解促進に努めたい」との回答を頂きました(口頭回答)。

 この「提言」では、「現在あるCRS出生の危険性を速やかに押さえ、風疹の流行規模を縮小するためには、妊婦への感染波及を抑制し、定期接種対象者について早い年齢で接種率を上げ、そして蓄積された感受性者に免疫を賦与することが重要」とし、女性への接種強化はもちろん、妊婦の夫や子供及びその他の同居家族への風疹予防接種を勧奨することが挙げられています。

 東京都では「風疹予防接種・先天性風疹症候群発生防止のための緊急対策」によって、都内自治体への任意風疹ワクチンの接種費用助成制度が講じられたところですが、女性は2014年3月末日まで、男性(妊婦の夫)は2013年9月末で終了とされています。

 また、風しん流行の翌年には多くのCRS児が産まれます。9月13日の貴局の回答では、診療分野での対応は医療者に委ねられており、都が何を行うかは不明確です。各医療機関、都民に対してCRS児への対応方法等の周知徹底が必要です。各医療機関に対しては国立感染症研究所「先天性風疹症候群に関するQ&A(2013年9月)」の配布の徹底、都民に対してはポスターやリーフレット、各自治体ホームページ等の媒体を用いた情報提供を行うことが望まれます。

 以上の観点から下記の対策を求めます。

  1. 風しん・麻しんの大流行を再び起こさないように、成人男女が自己負担の心配なく、都内どこでもMRワクチンを接種できるような施策を講じてください。
  2. CRSの診断、両親へのカウンセリング、CRS/CRI児の集団保育体制について万全の対策を講じてください。

以上
先天性風疹症候群(CRS)児と家族への対策および成人男女へのMRワクチンの接種助成を求めます [PDF:103KB]