平成26年度介護報酬改定に関する意見

公開日 2014年02月20日

2014年2月20日

厚生労働省老健局 老人保健課企画法令係 御中

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 当会は平成26年度介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正(案)について、介護報酬・利用者負担軽減策のより一層の充実が必要と考える。また、そもそも改定が必要となった元凶である消費税増税中止し、介護事業者が利用者に転嫁できない仕入れ・設備投資等による消費税負担分は介護報酬改定によらずゼロ税率を適用することで対応すべきである。

 改定内容は、消費税増税の介護報酬転嫁分として、総額0.63%の上乗せが実施され、区分支給限度基準額と各介護サービス費本体が引き上げられたほか、ごく一部の加算・減算が変更されただけで、算定要件等に変更はない。しかしこれだけでは介護事業者の収益増にならないばかりか、利用者負担増で利用抑制が発生する可能性も高い。区分支給限度基準額は更に拡充すべきである。訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションは原則的に医療保険に優先して介護保険より給付される。区分支給限度基準額を超えたサービスは10割負担となるために、必要な介護サービスをうけられない利用者もいる。

 住民税非課税世帯(低所得者)に対する負担軽減の強化が提案されているが、消費税増税により住民税課税世帯でも日常生活に必要な財・サービスの組み合わせを変化させるため、介護サービス利用を控えるおそれがある。

 また、現在介護保険制度の見直しが検討されているが、2月12日に国会に提出された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」では、①介護予防サービスのうち、訪問介護、通所介護を全国一律の介護保険サービスから外し「市町村事業(新総合事業)」に移行、②特別養護老人ホーム入所は原則要介護3以上に限定、③一定所得者(年金収入280万円又は290万円以上)の利用料を1割から2割に引き上げ、④低所得者への食事・部屋代などの補足給付(特定入所者介護サービス)の給付判断に資産状況を加え除外者を増やす、など、利用者にこれまでにない大きな負担を強いる提案を盛り込んでいる。

 社会保障制度改革推進法では社会保障給付の主要財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとするとされているが、社会保障は冨の再分配の制度であり、その財源を消費税のみに求めるべきではない。そもそも消費税は課税の逆進性があり、消費税のみ財源を求めれば、応益負担の性格を強め、制度が社会保障という概念から逸脱する。利用者に更なる負担を求めず、消費税収に依存しない財源を確保することで、西欧の先進諸国の様に介護保険被保険者が経済的な負担なくサービスを利用できるような制度構築に努めるべきである。

以上
平成26年度介護報酬改定に関する意見[PDF:120KB]