〔厚労大臣宛〕「20代から40代の全ての男女へのMRワクチンの接種助成」と「先天性風しん症候群(CRS)児および家族への対策」を求めます

公開日 2014年04月08日

2014年4月8日

厚生労働省大臣
 田村 憲久 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 

 先般、厚生労働省の厚生科学審議会において「風しんに関する特定感染症予防指針」の取りまとめが行われました。その目標は、「早期に先天性風しん症候群の発生をなくすとともに、2020年度までに風しんの排除」を掲げています。しかし、去る2012年から2013年にかけての大規模な流行について、その多くが風しんに対する免疫を持たない20~40代の成人男性間を中心に感染が広がったと分析しながらも、貴省における基本的な方針は「妊娠を希望する女性及び抗体を保有しない妊婦の家族等のうち、罹患歴又は予防接種歴が明らかでない者に対し、風しんの抗体検査や予防接種の推奨を行う必要がある」にとどまっています。

 当協会は、抗体検査による対象者の選別を行うのではなく、抗体価の有無に関わらず20~40代の全ての成人男女に風しんの予防接種を実施することが重要であり、むしろ女性のみを対象にした予防接種では風しんの流行を防げない、ひいてはCRSの発生を防げないことは過去の例を見ても明らかと考えます。反対に、過去の貴省の政策において、2008年度から5年間の時限措置として実施した麻しん定期接種(第3期・第4期)により麻しん患者が大幅に減少した成功例にならい、風しんにおいても、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳の年齢到達時に全ての成人男女にMRワクチンを接種することで、貴省が掲げる目標をより確実に達成することができると考えます。

 さらに、CRS児とその保護者への対応は急務です。国立感染症研究所(NIID)の発表では、2012年から2014年3月26日までに判明しただけで44例のCRS児が報告され、東京都内でも国に先行してCRS児の早期発見やカウンセリング体制の確立に向けた試みを進める自治体も出てきています。このような取り組みを自治体まかせにするのではなく、出生したCRS児の育児・保育体制の整備、保護者に対するカウンセリング等を含めた養育支援、そして医療費助成や就学援助などの公的支援制度は国の責任で整備すべきと考えます。

 以上のことから、下記の項目の実現を要望致します。

1.「妊娠を希望する女性等」に限らず、また「抗体検査」による選別を行うのではなく、20~40代の全ての成人男女に風しんの予防接種を実施すること。具体的には、2008年から5年間に限り実施された麻しん定期接種(第3期・第4期)の成功例にならい、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳到達時に全ての成人男女にMRワクチンを接種すること

2.CRS児およびその家族への対策として、国は、国民に対して情報提供を行うだけでなく、出生したCRS児の育児・保育体制の整備、保護者に対するカウンセリング等を含めた養育支援、そして医療費助成や就学援助などの公的支援制度を国の責任で整備すること

以上

「20代から40代の全ての男女へのMRワクチンの接種助成」と「先天性風しん症候群(CRS)児および家族への対策」を求めます[PDF:21KB]