沖縄をめぐる三つの神話 沖縄で何が起きているのか

公開日 2016年02月05日

画像が入ります。

横田基地は都内5市1町にまたがり、騒音や事故など、都民の生活や健康と生命に関わる課題が指摘されてきた。その横田基地に、オスプレイ機の配備が2017年から計画されている。沖縄県以外では日本最大の米空軍基地が、現政権下で強化されようとしている。

一方、沖縄県では2013年、県議会と41市町村、市町村議会が連名で建白書を提出、オスプレイ配備撤回・普天間基地撤去と県内移設断念を国に求ている。

協会政策調査部は、1月17日の政策学習会に、琉球新報社・東京支社報道部長の島洋子氏を招いて、沖縄と基地をめぐる動きについて聞いた。39人が参加した。

沖縄と基地をめぐる3つの神話

島氏は、「沖縄は基地経済で成り立っている」「普天間の米海兵隊は抑止力だ」「莫大な財政的恩恵を政府から受けている」という声をよく聞くが、これらは神話であり、虚構であるとして、その誤りを一つひとつ解説した。

 

「基地依存経済」という神話

「基地依存経済」という神話

まず、県民総所得に占める米軍基地関連収入の割合は、1972年の復帰前には30%を超えていたが、最近では約5%であり、沖縄経済が基地に依存しているというのは、全くの誤りだと指摘した。

さらに、那覇新都心地区など3つの地区では、米軍基地跡地の利用による経済効果が、合計で、返還前の90億円から返還後は2,436億円、約27倍となり、雇用者数も返還前の767人が、返還後には2万4,737人に拡大していることを紹介(図表)。翁長知事の「基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因」という発言を引きながら、米軍基地の返還は地域経済を大きく進展させる可能性があることを強調した。

「抑止力」という神話

基地返還の直接経済効果

「抑止力」神話では、普天間海兵隊基地を閉鎖・撤去し、さらに辺野古への県内移設をしなかった場合、日本の米軍事施設のうち、沖縄が占める割合は73.8%から73.4%に減少するが、0.4%の削減が極東随一の沖縄駐留米軍が持つ「抑止力」に与える影響はほとんどないこと。しかも、海兵隊は国内外の基地へ移動を繰り返しており、代替基地を県内におく必要は全くないことも指摘した。

「財政的恩恵」という神話

第3の神話である「政府からの多額な財政移転」については、沖縄振興予算を含めて、人口一人当たりの地方交付税・国庫支出金額では全国7位であり、決して突出していないことを示した。

「オール沖縄」と基地のない平和的発展の展望

島氏は「3つの神話が虚構であることは県内では共通の認識になりつつある。だからこそ戦後69年間も『基地か経済か』で争ってきた勢力が、普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設反対という一点で結びつき、保守と革新、イデオロギーを問わない『オール沖縄』を実現できた」と語り、「沖縄県の平和的な発展のために、多くの人々にこの事実を知ってほしい」と締めくくった。

(『東京保険医新聞』2016年2月5日号掲載)