公開日 2016年07月25日
サルビア会・就労環境部は7月13日、はたがやメンタルクリニック院長の岩田俊先生(協会副会長)を講師に労務セミナー「よりよい職場環境のために」を開催した。今回は昨年から始まったストレスチェックを取り上げ、産業医としての関わりと、開業医という事業主としての職場作りの両面から話を進めた。丸本副部長が司会を務め、会員ら16人が参加した。
「ストレスチェック」は利用が増えている自己記入式の質問紙法の一つである。容易にでき、検査者の主観に関わりなく結果が出るという長所もあるが、被験者は企業主に見られることを懸念し、本当のことを書かかないなど、制約が多い。
チェックは、仕事の負荷の程度や心的身体的ストレス具合を見ようとするものだが、企業は実施さえすれば責任を果たしたことになり、あとは産業医の責任が問われることになる。大企業では長時間労働やパワハラが排除されたとしても、下請け、派遣等非正規雇用にしわ寄せがくる構造になっている。
ストレスチェックで問題が明らかになったときに、業務起因性か否かだけをいうだけでは不十分である。対象者が仕事の喜びを得られるような状況にあるのかが重要である。それは、仕事が人間生活の一部であるからだ。
ストレスチェックに留まらず、よりよい職場環境を作るためにどうしたらよいかという観点を持つ必要がある。結果に問題が出てきた従業員への声掛けでは、医療を提供する仲間として援助をするような対応が必要であることが強調された。
講演後は、参加者と活発な質疑が交わされた。
(『東京保険医新聞』2016年7月25日号掲載)