高浜原発3・4号機の運転差止仮処分命令の取り消しに抗議し、再稼動の中止を求めます

公開日 2016年01月07日

2016年1月7日
東京保険医協会
公害環境対策部長 赤羽根 巌

 昨年(2015年)4月に福井地方裁判所で発令された高浜原発3・4号機の運転差止仮処分命令(樋口英明裁判長)に対し、12月24日、同裁判所の林潤裁判長による取り消し決定がなされたことにつき、東京保険医協会は強く抗議します。
今回の決定内容は、規制委員会が「専門的・技術的知見に基づき中立公正な立場で個別的かつ具体的に審査する枠組みが採用されている」ことを前提に、すべての主張を「合理的である」と結論付けました。原子力規制委員会、ひいては政府の主張をほぼ鵜呑みにするもので、「危険性を考慮しても、規制委員会の判断の合理性は左右されない」という主張は、福島原発事故以前の無責任な安全神話に逆戻りしたといわざるを得ません。

 一方、政府・関西電力は再稼動に向けて着々と準備を進めていますが、今回の仮処分決定取り消しでは原発の安全性を認定したものではありません。

 判決では「本件原発において絶対的安全性が想定できない以上、過酷事故が起こる可能性が全く否定されるものではないのであり、万が一過酷事故が発生した揚合に備え、避難計画等を含めた重層的な対策を講じておくことが極めて重要であることは論を待たない」とも述べているように、裁判所自らも避難計画を含め、政府・関西電力が万全な対策を取っているとは認めていないのです。

 関西電力は、原発停止による業績悪化で電気料が上がることを強調して再稼動を急いでいますが、高浜原発は30キロ圏内に福井・京都・滋賀の18万人が居住しています。福島原発事故の経験から、国・電力会社は、周辺自治体の避難計画や情報共有、住民の理解を得ることがどれだけ重要であるか、身をもって体験したはずです。電力の自由化や再生可能エネルギーの台頭を恐れ、命よりも経営の都合を優先する関電の姿勢に強く抗議します。
周辺自治体を切り捨て、使用済み燃料の問題も棚上げしたまま、再稼動ありきの議論を進めようとする風潮を正当化してはなりません。

 私たちは、地域住民の命を守る医療者の立場として、高浜原発の再稼動中止を求めるとともに、国・電力会社には「原発ゼロ」の原点に立ち返ることを改めて要望します。

以上

高浜原発3・4号機の運転差止仮処分命令の取り消しに抗議し、再稼動の中止を求めます[PDF:130KB]