三反園訓知事による川内原発停止・点検要請を支持する ――九州電力・原子力規制委員会は住民の声と真摯に向き合え

公開日 2016年08月31日

2016年8月31日

東京保険医協会 公害環境対策部
部長 赤羽根 巖

 8月26日、三反園訓鹿児島県知事は九州電力に対し、運転中の川内原子力発電所1・2号機の一時停止と安全性に関する再点検を要請した。われわれはこの決断を全面的に支持する。

 4月の熊本地震は前震・本震ともに震度7を記録し、余震は震源地が広域に移動するため予測できず、発生回数の多さも含めて中越地震に匹敵する大震災であった。先の見えない中で、住民が抱える不安は現在に至るまで続いている。

 ところが、原子力規制委員会は4月18日、上記のように熊本地震の評価が定まらないうちから、震源域の布田川・日奈久断層帯が川内原発に直接影響しないと断定し、早々と運転継続を認めた。「止めなければならない科学的根拠はない」というのがその理由だった。

 九州各地の活断層の状況や地震発生のメカニズムは未解明の部分が多く、川内原発近隣にも新たな活断層の存在が指摘されるなど、地質学・地震学分野の研究は日々進歩している。それにもかかわらず、原子力規制委員会のメンバーに地震動の専門家が一人も入っていないことは問題である。

 さらに川内原発の周辺には桜島、霧島、雲仙、阿蘇などの火山が集中しており、地震と連動した場合のリスクの高さは計り知れない。今回の地震では交通インフラが寸断され、川内原発における事故発生時の新幹線での避難計画などは不可能であることも証明された。

 多くのリスクを指摘されながら、原子力規制委員会は「運転を継続させなければならない科学的根拠」を示すことを放棄した。九州電力も、初めから運転を止める選択肢など考えていない。こうした姿勢が住民の理解を得られるはずもなく、川内原発の運転停止・総点検を争点とした先の知事選では、再稼働を容認した前知事に8万票以上の大差をつけて三反園氏が当選した。

 知事は稼働中の原発を停止する法的な権限を持たないとはいえ、これは地元住民の切なる声であり、九州電力・原子力規制委員会は従前の運転継続ありきの姿勢を改め、避難計画の見直しも含めて住民と真摯に向き合うべきである。

 三反園知事に対しては、今回の九州電力への要請実現に向け、いっそうのご尽力を期待する。

 九州電力・原子力規制委員会においては、県民によって選ばれた原発立地自治体知事の要請を重く受け止め、一刻も早い川内原発の運転停止と再点検を要求する。

以上

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