子どものインフルエンザワクチン――全額助成は2区1村のみ 10区市町村が接種費用を助成

公開日 2016年11月04日

 子ども等を対象としたインフルエンザ予防接種は都内9つの区市町村が独自の助成を行っており、今年度からは国分寺市も助成をはじめた(下表)。昨年、インフルエンザワクチンの4価化と、それに伴うワクチン卸売価格の引き上げは医療現場に大きな混乱をもたらした。医療機関ではやむなく価格設定の引き上げを迫られ、その負担は保護者らにそのまま重く圧し掛かることになった。接種率の向上には接種費用の公的助成を拡大することが求められている。

161105_01_都内でインフルエンザの接種費用の助成を行っている自治体一覧(2016)

千代田区:今年から全額助成

 これまで千代田区では中学校3年生までを対象とした接種費用の一部助成を実施していたが、2016年度からは「全額助成」に拡充した。これにより接種を希望する対象者は無料で接種を受けることが可能になった。

台東区:助成額を拡大

 また台東区では「生後6カ月~中学校3年生」を対象に接種費用のうち2,000円を助成していたが、2016年度からは助成額を2,300円に引き上げた。
 2016年10月1日時点の0~15歳児は、千代田区では7,690人、台東区は17,830人おり、それぞれの制度の恩恵は大きい。

国分寺市:新たに助成開始

 国分寺市でも、今年度から「生後6カ月~就学前の子ども」を対象に接種費用のうち千円を助成する制度をはじめた。10月15日~12月28日までの期間中に2回の助成が受けられる。
 市の統計では、2016年10月1日現在で0~6歳児は6,759人である。特に子どもの場合は、罹患によって病状が重症化する恐れもあり、接種費用の助成制度を導入する自治体が都内に広がることが期待される。

協会は区市町村に要望書を提出

 協会では、昨シーズンの卸価格の引き上げによる混乱を受けて、昨年12月に都内全ての区市町村に要望書を提出し、新たな助成制度の創設や助成内容の拡充などを訴えてきた。
 インフルエンザも含め、再燃が懸念される感染症への対策強化が求められているが、わが国ではワクチン自体の確保体制とともに接種費用の公的助成や副反応発生時における公的な保障があまりに貧弱だ。希望する全ての子どもが安心してワクチンを接種できる環境整備を求めて、協会は引き続き働きかけていく。

『東京保険医新聞』2016年11月5日号掲載