【銀杏並木】原発稼動の条件

公開日 2013年04月25日

銀杏並木

福島第一原発の事故から約2年、いまだに10数万人が避難所生活を余儀なくされている。日本国民の総意は原発停止・廃炉と見える。ところが、先の衆議院選挙で「原子力に依存しない経済・社会構造の確立を目指します」と公約した自民党は原発存続、再稼働どころか、新設も行う姿勢に転じた。

「安全性が確認された原発は順次稼働させる」という。またしてもの「安全神話」作りではないか。安全基準に合致した自動車でも、事故は起きる。

そもそも原発は核分裂の莫大なエネルギーによる湯沸かし器である。お湯の蒸気で発電機を回す。この原発が大爆発して、放射性物質をまき散らした。

ウランの燃えカスは、もとのウランの何万倍もの放射線を何万年もの間出し続けるので、安全なはずがない。家庭用のガス湯沸かし器でさえ死者を出す。

事故防止の第一歩は「絶対の安全はない」と認識することである。そして起こり得る事故を列挙して、危険因子を一つひとつ取り除かねばならない。しかし、ねじ一本に至るまでの安全基準や作業手順を定めても、事故は起こる。人間は必ずミスをする。

そこで事故の被害を最小限にくい止めるしくみが必要になる。福島原発では電源、真水、放水車、除染技術、汚水タンクの不備が判明した。

最後に被害者の救済である。最低でも賠償基準と賠償金が不可欠だ。(by.ポチ)

(『東京保険医新聞』2013年4月25日号掲載)