都知事選挙2月9日投票――医療・福祉の充実へチェンジ!都政の基本路線を問う

公開日 2014年02月05日

東京都議会議事堂(手前)と東京都庁

1月23日、東京都知事選挙(2月9日投開票)が告示された。

有権者は都政に何を望んでいるのか。朝日新聞の世論調査によれば、投票の際にもっとも重視する政策として、「景気や雇用」29%、「医療や福祉」25%、「原発やエネルギー」14%と続き、「オリンピック」はわずか7%であった。都民が望むのは「世界で一番安心して暮らせる東京」ではないか。

今回の選挙は都政の基本路線を根本から問い直す選挙だ。人気投票ではなく、都民の願いを託せる候補者を選びたい。

猪瀬疑惑を解明 クリーンな都政へ

第一の争点は、猪瀬前都知事が「政治とカネ」の問題で辞任した後、クリーンな都政を実現できるかどうかだ。

猪瀬氏が、徳洲会との仲介役だった新右翼団体「一水会」の代表に「当選の謝礼」として5百万円を渡していたことも判明しており、東京地検特捜部が猪瀬氏から任意で事情聴取するなど疑惑はさらに深まっている。

新都知事にはこの疑惑を解明し、真実を都民に明らかにする責任がある。また、これまでに「政治とカネ」の問題で疑惑を持たれた候補者もいるが、有権者に対し説明責任を果たすべきだ。

大型開発と都民のくらし

第二の争点は、石原都政と猪瀬都政の14年間の都政を継承するのか、転換するのかだ。 石原元都知事は「老人福祉などというのは枯れ木に水をやるようなものだ」、「何が贅沢かといえば、まず福祉」と述べ、老人医療費助成や寝たきり高齢者への手当の廃止、シルバーパスの全面有料化などで、都の支出に占める老人福祉費の割合は、全都道府県中2位から43位まで落ち込んだ。

猪瀬都政も石原都政を継承し、不要不急の大型開発を優先し、都民のくらし、福祉を削減する都政が続いてきた。

五輪の新施設では、新国立競技場(500億円)、「夢の島ユース・プラザ」のアリーナ(364億円)、有明アリーナ(176億円)等が予定されている。いずれも五輪開催後に採算が取れる見込みはなく、都民の税金を投入して運営維持費を補填し続けることになる。

2020年東京五輪に向けて、巨額の税金を投入し、大型開発をさらに推進するのか、簡素な五輪を目指し、都民のくらしと福祉を充実させるのか、都政の基本路線が問われる選挙だ。

エネルギー政策 原発再稼動が争点

第三の争点は、原発政策だ。東京都は東京電力の大株主であると共に、電力消費全国1位で、日本の電力消費量の1割を占めている。東京都が原発再稼働に反対し、脱原発のエネルギー政策を打ち出せば、その影響は全国に波及する。

一度原発事故が起きれば、都民の命、くらし、経済活動は壊滅的な打撃を受ける。安倍政権の原発再稼働推進、原発を重要なベース電源と位置づけるエネルギー政策に対する賛否が厳しく問われる。

安倍政権に対する審判

第四の争点は、特定秘密保護法や社会保障改革プログラム法に代表される安倍政権の暴走にどう対応するかだ。特定秘密保護法に続き、共謀罪の創設を計画するなど、安倍政権は解釈改憲を狙い、戦前へと回帰するかのような施策を次々と打ち出している。平和でなければ、都民の命とくらし、経済活動は成り立たない。米軍横田基地へのオスプレイ配備など、都民の命を脅かす施策に対して明確な態度表明を望みたい。

社会保障分野では、今後70~74歳の窓口2割自己負担の実施、介護保険の「要支援」給付外しなどが狙われている。4月の消費税8%の実施、2015年10月には10%への引き上げが予定されている。都民に襲いかかる負担増の嵐の盾になり、くらしを守る施策の実施が求められている。

協会は東京都に、ぜん息医療費全額助成制度の存続、風しんワクチンの接種費用助成、療養病床の確保など様々な提言・要望を行ってきた。今後も都民、患者と力を合わせ、運動の先頭に立つ決意だ。

(『東京保険医新聞』2014年2月5日号掲載)