保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【銀杏並木】どの芽もすこやかに

公開日 2014年02月05日

【銀杏並木】

赤ちゃんのとり違えが60年後に判明した事件があった。経済的に恵まれた家庭の第一子として育つべきだった男性は、引き取られた家庭の父親が早世したこともあり、母子家庭にありがちな経済的困難のなかで育てられた。

高校を卒業して職を得たが、学費のためのアルバイトが必須だった。あとから生まれた同胞たちが高学歴となり社会的地位を得ていたことに加えて、実の両親はすでに他界していたと聞けば、その心中は推しはかることもできない。

育ての母には感謝している、という言葉には救われる。ではとり違えがなかったら、それで万事オーケーだったのだろうか。

この事件には少なくとも母子家庭の貧困と、教育環境の問題が隠れている。こどもの将来が生まれ育った環境によって大きく損なわれるならば、社会の損失といえるだろう。

生活保護を受ける世帯主の25%は生活保護世帯で育っているという、「貧困の連鎖」を放置してよいものだろうか。2011年公表の厚労省調査でも、「こどもの貧困」率(貧困家庭に育つこどもの割合)は15.7%に及ぶ。ひとり親家庭のこどもに限れば、貧困率はじつに50%を超えているという。

自助も共助もできないこどもたちのために、才能と未来を奪うことのない公的環境が必要だ。地球の未来はこどもたちに託すのだから。(by.ポチ)

(『東京保険医新聞』2014年2月5日号掲載)