日の出町 医療費無料制度で5年――年毎に75歳以上の医療費が減少

公開日 2014年05月25日

日の出町長選挙「70歳から医療費無料」を掲げた橋本聖二氏が2選

3月23日に行われた日の出町町長選挙は、保守2候補の争いのなか、橋本聖二氏が再選された。橋本氏は、町独自の高齢者医療費無料制度の対象を70歳まで拡大することなど、独自の福祉政策を公約に掲げて当選した。

二期目の任期に入った橋本町長は「高福祉は町民への義務」(都政新報4/15)と語っており、医療・福祉行政の充実が可能なことを元町長の青木國太郎氏とともに示した。患者負担の軽減を求める多くの都民に希望を与えるものであり、歓迎したい。

協会病院・有床診部は2010年、日の出町への視察見学会を実施し青木元町長と懇談するなど、日の出町の医療・福祉・子育て支援施策に注目してきた。

医療費無料制度 町の負担は一般会計の1%

グラフ1 75歳以上の1人当たり医療費の推移(後期高齢医療給付額)
図1 雇用形態別の雇用者

高齢者1人当たりの医療費が全国的にも増え続けるなかで、日の出町は2009年に75歳以上の医療費無料化をして以来、後期高齢者の1人当たりの医療費は下がり続け、窓口負担の助成額も減少するなど、医療費無料制度が医療費抑制に効果があることを示している。

その結果2010 年に比べ医療費無料化の対象者が2割以上増えているにもかかわらず、予算額は7.5ポイントの上昇に抑制されている。町が負担する助成額は2014年度一般会計の1%にあたる9,400万円(対象2,015人)でこの成果を上げている。

日の出町で75歳以上の1人当たり医療費は、10年度の66万5,141円から12年度の63万4,013円へと、2年間で約3万1,000円下がっている。

図1 雇用形態別の雇用者 逆に東京都全体の75歳以上の1人当たり医療費は、10年度の80万2,538円から12年度の82万7,297円へと、2年間で約2万5,000円上がっている(グラフ1参照)。

日の出町が支出する1人あたりの平均医療費助成額をみると、10年度の5万2,251円から14年度の4万6,650円(予測額)へと、4年間で約5,600円も下がっている(グラフ2参照)。

日の出町役場に取材したところ、70歳以上の医療費無料化の実現に向け、検討・準備を進めているとのことだ。

協会は日の出町の成果を踏まえ、引き続き患者負担軽減・引き下げの取り組みを強めていく。

(『東京保険医新聞』2014年5月25日号掲載)