【シリーズ】図表で見る東京の国保① 「上がりつづける国保料」

公開日 2014年08月25日

図表1 一人あたり区市町村国保料の推移

2012年現在、東京都の国保加入者は区市町村国保370万人、国保組合140万人であり、総計で約510万人である。その国保料は毎年上がり続けている(図表1)。

区市町村国保1人当たりの平均保険料(介護保険料込み)は、2004年に7万6,236円だったものが2012年には9万3,685円となった。2000年以降ほぼ毎年上がり続づけており、2008年には75歳以上の都民を切り離して、後期高齢者医療制度に移行させたが歯止めはかからず、2012年には23区では10万円台を突破した。

今年も昨年に続き国保料が引き上げられ、23区では介護保険料分を除いても1人当たり平均で10万3,103円となった。給与所得者30歳・年収200万円で専業主婦の妻と子供の3人世帯の場合、前年に比べ17%増の年16万216円の保険料となり、収入の一割近くが国保料として徴収されている。

国保加入者は1960年代には自営業・農林水産業が6割を占めていたが、近年は15%で推移している。その一方で、年金生活者や失業者など、当時は1割未満だった無職者が約4割、2割弱だった被用者が非正規労働者の増加などで3割を超えるに至っている。

図表2 差し押さえ延件数・金額の推移

図表2 差し押さえ延件数・金額の推移 低所得者と高齢者が過半を占めるなかで、国保料の度重なる上昇は2割を超える滞納者を生み出し、国保料滞納による差し押さえ件数も、2006年の7,818件から2011年には1万7,058件へと5年間で倍化させている(図表2)。

国民健康保険法は第一条「目的」に、「社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」とある。しかし、国保料を滞納すれば被保険者証を取り上げて「資格証明書」を発行し、10割の窓口負担を課して実質無保険者扱いとし、それでも払えなければ「差し押え」で加入者の生活を破壊するというのは、もはや社会保障ではない。

国保は支払い不能な国保料を課して加入者の生活を脅かす制度に変質しているといっても過言ではないだろう。

【シリーズ】図表で見る東京の国保②「40年間で7割減った国庫負担」

(『東京保険医新聞』2014年8月25日号掲載)